彷徨える初期高齢者

62歳からの生き方を探し、もがいて苦しむことに必死になる。誰でもない自分の人生として。

読書会のための友人への手紙

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 返事が遅れてしまいました。読書会の課題本を何にするか、またその選定理由は何かを考えていました。課題本はほぼ「デミアン」でいいだろうと思うのですが、理由はなかなかうまく言い当てることができません。

漠然と思うのは、前回の星の王子さまは第二次大戦中のフランスという背景で書かれた子供向けの普遍的小説であったのに対して、デミアン第一次大戦後のドイツで敗戦と戦争の傷跡の残る精神状況を立て直す、青年向けの回復のための小説という「対比」がどうかということです。

その頃、シュペングラーの「西洋の没落」がベストセラーにもなったように、ドイツばかりではなくヨーロッパが相当の危機感に陥っていたはずであり、ナチズムを生む原因にもなった危機意識からの脱却は現代の我々にも十分アクチュアルな課題にもなると思います。

戦勝国のフランスでは没落からの回復という意識はあまり形成されなかったのではないかと考えられます。レジスタンスは自由を勝ち取り、祖国を守るというある意味健全な意識のもとにありますが、ドイツは自由ではなく、何か民族的な観念につきまとわれるところがあるような気がします。

それとドイツはヘーゲルやカントなどの哲学の国であり、自我や精神が普通の社会生活よりも上に置かれる気風があるような気がします。その辺りは日本にも通じるところがある気もします。同じ敗戦国でもあるし、天皇制や武士道の国というところにも、精神の優位の気風があると感じます。

そのような背景を思い描きながら、もう一度デミアンを読んでみるのも一考ではないでしょうか。