彷徨える初期高齢者

62歳からの生き方を探し、もがいて苦しむことに必死になる。誰でもない自分の人生として。

アンニュイな良き時代

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今の時代には抒情や情念が全く欠けていると思う。ぼくも引きこもっていた時期があるが、ほとんど誰もが引きこもりの経験があり、ないのは鈍感でどうかしていると髪の長い文学少女に馬鹿にされていたものだった。アンニュイという言葉が生きていた。今の時代、引きこもっていると病気扱いされて社会から取り残された敗者のように見られるらしい。だいたい僕らは現代社会を否定する道理を語る哲学者や評論家に取り囲まれていたようなものだった。社会の方が間違っているのだから平気でいられた。ぼくが美大受験を決めたのは、美大祭の前日に仮装した男女が乗ったオープンカーが、香林坊を夢のように通り過ぎたのを目撃したからであった。金沢の人は昔から普通じゃない人には寛容だった。そういえば金沢の開祖である前田利家も若き頃は織田信長にも勝るとも劣らない傾奇者(かぶきもの)だったらしい。そのオープンカーを目撃したのは1970年の頃だった。