彷徨える初期高齢者

62歳からの生き方を探し、もがいて苦しむことに必死になる。誰でもない自分の人生として。

定年退職サラリーマンのつつましい日常

労働者という言い方がなんとなく馴染まなくなってサラリーマンとしてしまったが、ストック(資産)の状況からは同じなずなのに、肉体を主に使うか頭と手を主に使うかで区別している自分が欺瞞的に後ろめたく感じるのは、昭和時代の人間なのだろう。そんなぼくの書いたものはこれまで日常をずっと避けてきた。昔は現実嫌悪だったのがここまで生き延びてきて人並みの日常をつつましく送ることができてきたこともあって、日常のことも書いてみようと思ってきた。いや、これまでも日常のことは書いてきた、テニスや図書館や美術館や母親のことそして読んだ小説のことを。日常のことというだけでは正確ではない。それはロカンタンのような孤独な独身者が送る日常のように描いていた、と言うべきだった。今はそうではなく、つつましいが楽しめてもいる妻帯者が送る小さな日常を、ある意味遠慮なく肯定的に書いてみようということなのだ。日常生活というふうに生活の方にアクセントを置いて描くということかもしれない。

そういうわけでぼくはこのゴールデンウィークをどう過ごしたかを初めてのように書いてみる。まず4月29日はテニス仲間と鳥越村のバードハミングへ行って、テニスとバーベキューを楽しんできた。このイベントは実は毎年の恒例になっていて、10人ほどでお互いのプライベート情報の交換みたいなコミュニケーションの場になる。前日には焼肉用の肉と野菜や焼きそばやビールのつまみなどの買い出しに当番の家族同士で行って準備もする。テニスは普段は男子と女子で別れるが、この時は混合ダブルスでもゲームをする。テニス歴はほとんどが30年以上というベテランなので、それなりにゲームは楽しめる。隣のコートでは定年後始めたグループでゲームをやっていたが、はたから見て面白くないのはテニスは若い頃からでないと「型」が出来ないスポーツの部類に入るからだ。

翌日は妻の定年退職後の旅行として「熟年ハネムーン」の真似事をスケジュールに落とすべく、JTBへ行ってきた。海外か国内か海か山かでいうと、国内の山(といっても渓流)になるが、行き先は奥入瀬渓流にしたのはもっぱら妻の好みによる。その中でぼくの好みを入れて、滞在ホテルはあの星野リゾートにした。しかも連泊で。もちろん星野リゾートは初めてなのだが、このホテルにはポリシーがあるのがなんとなくわかるので一度泊まってみたかったのだ。北陸新幹線東北新幹線を使い、七戸十和田駅からはレンタカーでホテルまで行き、奥入瀬渓流はたっぷり4時間散策するつもりだ。JTBの計らいで希望通り渓流の見える部屋にしてもらった。旅行代理店のスタッフと色々手配する時間は楽しいものだ。4月30日は国際ジャズデーということで、6年ほど前かにユネスコでジャズピアニストのハービー・ハンコックの提唱で決められたそうだ。そのことを知ったのは、JTBの後これまた妻の意見に従って久々に街を歩こうということになり、金沢市庁舎前広場でのコンサートでのことだった。ユーミンの歌に出てきそうな「五月の風」に優しく吹かれながら、おそらく100人くらいの金沢市民と海外観光客とともにオシャレなジルデコの歌と演奏を聴いた。(つづく)

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