開界録2019

The time I retired from jobs is the period reviewing and comprehending my past life.

芸術家のミューズ

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片思いだった女の子を昔を辿っていて思い出した

その子の家の近くまで歩いていた小学校のころ

かすかな純情の破片が今もこころのどこかに残っている

思い出すという奇跡に驚き、時間が一瞬で遡る

果たして恋心などというものは成長するものだろうか

真実を知るたびに憎しみが生まれてくるような

孤独と悲しみなどでもう無くなってしまったと

とっくに忘れていた感情がある音楽とともに甦る

 

田舎から都会に出てきて出会うセンシティブな爽やかさにも

慣れてきた青春のころ

自由と少しばかりの放縦と夜の果てしなさを知って

偶然の出会いに立ち止まり

立ち去らないまま見つめ合うことにした日もあった

「あなたは私に似ていると言われた」と

ぼくを見た彼女の友人が言ったことを話した時

ぼくは彼女のものになって結婚していたら

どんな人生が始まっていたことだろう

 

永遠だと思われた無為の日々が

なぜかわからぬままに失われようとは

あまりにも大切なものに気づくのがいつも遅すぎる

こころには沈殿して決して死んでいるわけではない

芸術家のミューズが実在のように甦らす

悲しみを帯びた旋律を思いがけなく奏でる

そんな幸福がどれだけあるだろう

歳をとることは若返ることだ、、、