彷徨える初期高齢者

62歳からの生き方を探し、もがいて苦しむことに必死になる。誰でもない自分の人生として。

夏の日

f:id:hotepoque:20180806175136j:plain

暑い日海がうねっていた 潮風が少女の髪をなびかせて 時間が止まっていた 海岸沿いのハイウェイに オープンカーが疾走していった 気だるさと眩しさと汗と 思わせぶりなふとした沈黙のあと ぼくは耐え切れなくなって キスしてくれと言った 君は待っていたように凭れかかってきた 夏の日は思い出の夏になった

高校生のころはプールによく行っていた 何か思いつめて黙っていた君を気づかないふりして 君の横に寝そべって感じていた 何も起こらず過ぎていく夏休み プールの後のイチゴのカキ氷は 君の唇を赤くした

いつまでも続くようにお互いが自己放棄していた 滑り落ちるように夏が過ぎていった 取り返しがつかない、離れていく距離 放っておいてはいけなかった ぼくはもっと君に譲って 自分を捨てるほど君に心を向けていればよかった 大切にされているという感じがしなかったと君は言った その通りだ ぼくは見返りを求め過ぎていた

どこかで諦めていた気もする 信じることができないという不幸をあまり真剣に考えなかった 小さなことが大事だったのだ 心の中の出来事を本当に起こっていることのように思えなかった でも、それこそ自分が直面することだったのだ