開界録2019

The time I retired from jobs is the period reviewing and comprehending my past life.

(公論)日韓問題

現在の日本韓国間不信の原因を歴史に学ぶ一資料として、以下のブログ記事を記録しておきたい。投稿者は、内海信彦という早稲田大学教授です。

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「台湾を経営し、朝鮮を合邦し、満州五族協和の天地をつくったことが帝国主義といわれるなら、それは光栄の帝国主義である」椎名悦三郎
「日本は植林し、鉄道を敷設し、水田を増やし、韓国人に多くの利益を与えたし、日本が進出しなければロシアか中国に占領されていただろう」久保田貫一郎

極右安倍晋三のルーツを、満州国中枢に君臨した岸信介椎名悦三郎まで辿ることで、今日の韓国・朝鮮への敵対的態度が、帝国主義者の系譜のなかで一貫して持続されて来たことを、考えてみたいと思います。

 岸信介の腹心だった椎名悦三郎は、外務大臣当時の日韓会談のさなかに、著書「童話と政治」で、「台湾を経営し、朝鮮を合邦し、満州五族協和の天地をつくったことが帝国主義といわれるなら、それは光栄の帝国主義である」と書いています。椎名は、同様の発言を日韓会談でも再三繰り返していました。 
 
 外務官僚の久保田貫一郎も、1953年の日韓第三次会談で朝鮮・韓国植民地支配を正当化して、「日本は植林し、鉄道を敷設し、水田を増やし、韓国人に多くの利益を与えたし、日本が進出しなければロシアか中国に占領されていただろう」と発言して、交渉を決裂させています。

 日韓条約を巡り、韓国民衆は、朴正熙軍事独裁政権下で、激しい反対闘争が繰り広げました。まさに韓国民衆は、今日の日本政府が帝国主義の過去を省みない、抑圧的な韓国・朝鮮への姿勢を見越していたのです。日本でも日韓条約反対闘争が展開され、1960年安保闘争の敗北以来、沈滞していた学生運動が甦生して、社共の日和見的な議会主義を乗り超えた1960年代後半の学生反乱の契機となったのです。日韓条約反対闘争のなかで、日韓民衆が主張した日本の帝国主義的復活と、植民地支配を正当化し、侵略を認めず、経済侵略を目論み、南北分断を固定化させる、今日の日本政府の傲岸な政策を正確に予測しています。

 1950年代から60年代の日韓会談で日本政府が露呈した、帝国主義者としての本性は、一貫して自民党安倍晋三に代表される極右全体主義者に受け継がれて、今日の極右日本に蔓延する、反韓嫌韓というヘイトクライムに至っているのです。そして満州国こそが、戦後日本の祖形であり、岸や椎名が造り上げた戦後の保守合同による55年体制と、企業域内労使協調と疑似的社会主義擬制は、満州国の再生であり、国内植民地化の完成形態だったのです。

 椎名 悦三郎は、商工省官僚時代に岸信介から招かれて、中国東北地方の植民地支配である満州国の中枢にいて、岸が心酔していたソ連共産党全体主義体制を規範に、満州産業開発五カ年計画と統制経済を実行し、その後の全体主義体制下での総力戦体制の原型を造った人物です。関東軍支配下満州国で、疑似的社会主義体制作りを行った椎名は、アヘン製造販売の莫大な利権を握った東条英機と組んだ岸信介とともに、国有企業に近い独占的国策企業である満州重工業開発会社を創立して、日産コンツェルン総師鮎川義介と結託し、中国民衆からの収奪により莫大な盗みを働いたのです。

 こうした帝国主義者としての実績が買われて、東条内閣の商工大臣となった岸の腹心である椎名は、国家総動員体制の先頭に立ち、商工省総務局長から商工次官になり、日本共産党の転向者で後にフジテレビ経営者になった水野成夫らとともに、翼賛体制作りに奔走し、腐敗を極めた軍部首脳と資本家とともに巨額の利権漁り励んだのです。

 国家社会主義者を自称した革新官僚である岸と椎名にとって、戦争とは、至福のビジネスであり、醜悪な利権の泉です。戦時全体主義体制による岸と椎名の支配者の様相は、ファシストとともに共産党官僚独裁の支配と酷似しています。そして戦時下の人脈は、そっくり戦後の自民党社会党の一部に受け継がれて行くのです。戦犯としての処刑を免れた岸が、社会党入党を目指したことは意味深長です。

 戦後体制とは、戦前・戦中の総力戦体制がそのまま官僚独裁体制として延命されたものであることが、岸と椎名の醜悪な生き様を見ることで明確になります。全体主義体制と国家総動員体制は、企業社会と学校にそっくり継承されています。

 国家社会主義的な官僚独裁体制は、内部批判を認めない中央集権体制として、戦後議会政党に延命しています。転向者の責任を問わないまま、敗戦後に復活した社会党と、日本共産党は、転向者の負の歴史を無かったことに修正することで、保守合同と同様な戦争加担の責任を不問に附している点で、双子のようです。今日の立憲改憲を公然化して右傾化した旧民主各党と、天皇制までを認めるに至った日本共産党の右傾化は、自民党と連動した過去の歴史修正主義から始まっています。

 天皇制と官僚体制はそっくり戦後も温存され、企業内および学園内の全体主義と、政治主義者内部の全体主義が温存され、しだいに社会全域で蘇生して、今日の全体主義日本が復活したと思います。椎名悦三郎が言った栄光の帝国主義とは、実に言い得て妙であり、本当にその通りに復活蘇生する予言だったのです。

 ただし栄光の大日本帝国が崩壊したことも、再び繰り返されていることは、椎名に想定されていたかは、甚だ疑問です。まさか岸信介の孫によって、復活蘇生したはずの新日本帝国が、あっけなく内部から崩壊していくとは、夢にも思わなかったでしょう。

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1965年2月23日 衆議院本会議議事録 外務大臣椎名悦三郎不信任決議案をめぐる審議より

石野久男君 私は、ただいま上程されました椎名外務大臣不信任案に、日本社会党を代表して賛成の討論をいたさんとするものであります。(拍手)

 ただいま福田議員は、椎名外務大臣の信任を支持するために、こじつけた意見を述べられました。民族を裏切り、軍閥の上に乗っかった朴政権、それと取引をしておるところの佐藤内閣、その佐藤内閣がいま日韓会談を進めるにあたって、北の朝鮮の問題に触れて、福田議員は、社会党に尋ねると言いました。社会党は、六一年七月の中国と朝鮮との軍事同盟をどういうふうに考えているかということであります。韓国はアメリカとの間に、すでにそれ以前から軍事同盟を持っておるということを福田さんは知らないでおる。(拍手)そうして、彼は、虚構の事実の上に立って、いたずらに非難しようとしておるのであります。

 私は、これから椎名外務大臣を不信任する理由を申し上げます。

 賛成する第一の理由は、椎名外相は、平和外交の識見がないということであります。特に、アジア外交における基本的理念が大東亜共栄圏の夢を依然として追っておる亡国の政治屋であるということであります。

 今日、日本の外交は、中国、朝鮮を中心としたアジア平和外交の確立なくしては、経済的にも、政治的にも、百年の計を誤ることはだれでも知っていることであります。(拍手)しかるに、椎名外相は、その著書「童話と政治」で、「台湾を経営し、朝鮮を合邦し、満州五族協和の天地をつくったことが帝国主義といわれるなら、それは光栄の帝国主義である。」わずか二年前に、このことを彼が通産大臣のときに書いておるのであります。(拍手)彼は予算委員会において、そのことは、すでにもう改めたと言いました。そしてまた、彼は、共同声明の中においても、それを改めたと言っております。しかし、彼は依然として中国封じ込めの政策に確信を持っております。その政策は改めようとはしていないのであります。彼はまた、三十六年間にわたる日本の朝鮮支配に反省せず、朝鮮人民の南北統一を少しも考えようとしていないのであります。むしろ、平和統一を決定的に阻害する日韓会談基本条約の仮調印をしたのであります。椎名外相の、光栄の帝国主義の考え方を全く改めたという答弁はうそであります。アメリカの中国封じ込め政策に積極的に協力し、北進滅共統一の朴政権とかたく手を握って、椎名外相の行なうその政策の中の、いずれに光栄の帝国主義の思想が消えているということが言えるのでありますか。いずこに過去を反省し、朝鮮国民に示しておるということが言えるのでありましょうか、椎名外交は、依然として忘れることのできない光栄の帝国主義大東亜共栄圏の夢を追い、平和外交の基調を持っていないという事実を示しておるのであります。(拍手)

 第二の理由は、彼が行なった日韓基本条約の仮調印は、秘密外交の最たるものであるということであります。

 憲法をじゅうりんし、国会を無視し、侮辱することこれに過ぎるものはないといわなければなりません。椎名外相は、本院において日韓会談の一括解決を確認し、基本条約の仮調印を行なわないということを明確にし、また、羽田を立つ際にも重ねてそのことを声明した。しかし、わずか三時間の後、金浦飛行場におり立つや、胸を張って、仮調印する意思のあることを公式に声明したのであります。何たる国会を侮辱することでありますか。われわれは、このような椎名外相の政治姿勢を問題にしなければなりません。彼は、台閣に列して、身を外務大臣の要職に置き、その政治責任をはたして何人に対してとろうとしておるのでありましょうか。彼の眼中には、アメリカと朴かいらい政権があって、祖国と日本人がないのであります。(拍手)われわれは、かくのごとき外務大臣に国政をゆだねることはできないのであります。

.http://kokkai.ndl.go.jp/…/syu…/048/0512/04802230512010a.html