開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

2018-01-01から1年間の記事一覧

年の瀬にというわけではないが

しばらくブログから遠ざかっていた。気ままに思うことを書き綴るという趣味から離れていた。一つにはiMacが動かなくなって、何とか自力で回復を試みた結果諦めざるを得ず、AppleStoreに修理に出すことになったからだ。今はsonyのvaioでwindows os のお世話に…

「笹まくら」を読んで

丸谷才一の名著とされている「笹まくら」を読んでから二、三日が経っている。いつもだったら読後すぐに感想を書いてこのブログに記録することにしているのだが、ただぼうっとして衝撃が冷めるのを待っていた。つくづく思うのは、主人公の浜田庄吉(徴兵忌避…

自分にとってなぜそれが問題なのか

他者のブログを読む時いつも感じることなのだが、その記事は他人に伝えなければならないかの理由を述べないで、いきなり書かれている、というものだ。日記なのだから別に構わないのだけれど、その人の関心ごとではあるにしても、なぜそれがブログに書かれな…

今日を生きたか?

今日という区切られた偶然の1日をどう生きたか、という問題を設定してみたいと思う。何も特別なことがなく、目的からの1段階としてノルマ的な実施項目というものもなく、ただあったことだけは確かな、ごく普通の1日というものを考えてみたい。もしぼくの生…

再出発

ブログ1年分の量を基礎として新たな出発を計る。生き方の師である先輩や同世代の歩いた道を辿ってきた1年。青春の時期に知った自由の空気を体内の記憶に呼び起こしながら、挫折の構造と意味を少しは学びとれたと思う。何はともあれ定年退職後4年にして立つこ…

読むことと書くこと

「利口そうなおしゃべりなんて、ぜんぜん価値がない。ぜんぜんないね。自分というものから離れてゆくばかりだ。分を離れてしまうというのは、罪悪だよ。ぼくたちは、自分の中へかめのこみたいに、すっかりもぐり込むことができなけりゃだめだ。」___________…

読書記録(総集編)

どんな名作と言われている小説であっても、自分が読むことで感じたり考えたりしたことのほうが意味があり、その小説で受けた影響に正直になることをぼくは読書の第一義に置いている。それを「本を読む生活」と呼ぶことにする。そして本を読んで受けた影響を…

定年退職者の手記(総集編)

定年退職者の手記 定年後をどう生きるかみたいな本がよく売れているらしい。自分もその渦中にいて、その本にあるように自分も残念ながら定年後居場所がないことを認めないわけにはいかなかった。それは敗北感がともなった。 スターバックスは「第三のプレイ…

自立とは

自分のブログを再読していくつかの記事が意欲的で、今の自分を鼓舞するところがあった。「1968年の観念」や「故郷化して世界内存在として自立する」などがそうである。今からすると、その頃が既に過去化されて現在とは繋がっていないことが分かる。その頃の…

生きがいを求めて*

何が一番つらいかといえば、生きる目標がないことだ。38年間サラリーマンとして生きてきて最低限文化的に生きるだけの蓄えと自宅を持つことができた。そのあとを何を目標にして生きていけばいいのか、答えは簡単に見つからない。退職して4年過ぎたが、未だに…

村上春樹と福永武彦

引きつけられるようにして今日、「ノルウェイの森」を手にとって再読を始めてみた。 直子は最初から自分が死から逃れられないと決意している事がなんとなく分かり、ワタナベ君との接し方は誰かと似ているとふと感じられた。ああ、誰だろう、、、ぼくの記憶の…

考える方法

昨日のブログの続きで、考える方法を50通り考えてみた。やってみて考えるのが楽しいことがわかった。 1. 自問自答する 2. 自己同一を見る 3. 自己との差異を見る 4. 相手の考えを推測する 5, 最後まで徹底する 6. リアルかどうかで他者を判断する 7. 起承転…

欠けたものからではなく、在るものから出発する

欠けたものからではなく、在るものから出発する____それは否定からではなく、肯定から始める、と言い換えることもできる。村上春樹の文学は「気持ちよくて何が悪い?」から始めている。日本の近代文学あるいは村上春樹以前の文学のほとんどが否定から始…

定年後の路地裏散歩

文章を書く動機のひとつとして、心地よく時間が流れてから普通の時間に戻った時に、もう一度その時間を文章の中に取り戻したいという気の起こることが挙げられる。昨日の午後ふと思いついて、妻と二人で金沢の弥生地区の裏道を散歩(自宅のある野々市から金…

何を読むのかについて

先に読むことについて書いたが、読むという行為の本質を微妙に外していたように思った。読むことについては何を読んだかを経験として分析しないことには、読む行為を説明したことにならない。単に小説を読む場合だけでなく、例えば政治情勢や相手の心を読む…

読むことについて

ぼくがサラリーマンだった頃の上司の一人に、よく本を読んでいる人がいて割と話が合う方なので相談などもしていたのだが、文章を書くのは全くダメということであった。ぼくにとっては本をたくさん読んでいれば語彙が豊かになって、書くのにも困らないと思っ…

「村上春樹はむずかしい」

あえて文学的出発点という言い方で書いてみるが、言葉で自分をとらえて生きる時空間を作り出す最初の契機に、このところ関心が湧いてきている。村上春樹を定年退職後にふと気づいて読み始めたのは、同じ時代を生きて世界文学に通じる小説家をとりあえず読書…

福永武彦「ゴーギャンの世界」を読んで

次第に主題が形づくられてきている感触がある。「ゴーギャンの世界」を読み始めて感じた違和感を育ててみる方向の中で生まれつつある主題だ。福永武彦はゴーギャンの精神を捉えようとしているが、ゴーギャンその人の中に入っていこうとはしていない。おそら…

経験や仕事も分配できる社会とは

現代社会では、企業の経営陣と商業的政治家によって運営されており、人びとは大衆操作によって操られている。人びとの目的は、もっと多く生産し、もっと多く消費することだ。それが生きる目的になってしまっている。いまや人間はロボットである。(中略)人…

「私の人生」という素材

、、、、そこにはぼんやりと「私の人生」という素材がころがっている。、、、、これまで現に私が体験してきたことを意味づけることは、じつは私にとって自明なことでも容易なことでもなく、一つの探求すべき大きな課題なのです。 ______中島義道「人生…

たった一つのことをやり遂げる

人生は短い。何かものになることを天才でもない限り、多くはできない。自分の好きなことを思いついて次々にやっていても、ものになることはないだろう。周りがやっているから自分も同じことをやろうとする人は、何もものにならずに一生を終えるだろう。自分…

杉浦康平と稲垣足穂を知る

会社を定年退職してしばらく経って第二の人生を模索していた頃のFBの記事を見つけた。高校時代を回顧することに虚しさを感じ始めて、美大に進んでから杉浦康平や稲垣足穂を知ったころにも熱い時間があったことを思い出している。今ならどれだけ時間を使って…

駄文

古今東西あらゆる世界、歴史に繋がるようになって、人々は自分でものを考え言うことをしなくなった。すでに自分の考えることは誰かが考え尽くしていて同意するか、否定するかしかしなくなった。悲しいかな自分をしっかり大地に立たせることに意欲がなくなっ…

読書は孤独な行為である

昨日のブログで読書は孤独な行為ではないと書いたが、今日は真逆の読書は孤独な行為であるということについて書きたいと思う。なんだか昨日書いたことの中にウソが混じっている気がしたからだ。ウソとは言い過ぎで、あのような場では場を壊したくないという…

話してみなければ分からない

読書会に参加し始めて1年半くらい経つが、石川県には読書会連絡協議会というれっきとした団体がある。何と60年以上続いているらしい。今日県の南半分(加賀地区というのだが)の読書会から集まって「本を読む仲間の集い」があり、最初の会長の挨拶でそのこと…

新しい言葉を求めて

ぼく自身の幻想の湿地に分け入っていこうと考え始めた。 このまま過ごしても何も変わらない環境だから、 社会の出口に来て青春を後ろから辿ってみようと思いついた。 おそらくあらゆる主義者は歴史に登場して、 あまりにも精神を行き過ぎて走らせてしまった…

これはとても個人的な事情なのだけど

ぼくの生きている時代にとって二人の人物が大きな影響力を持っているのだが、それは個人的な事情なのでほとんどの人にとってはスルーされて当然のことになる。それでも書くのはその二人の人物が現代においてとても大きな影響力を示していて、同じように影響…

10月初旬の爽やかな空気に

10月初旬の爽やかな空気は同じ皮膚の体温が ぼくの連続した過去の同じころの生活感を甦らせてくれる。 あらゆる生物にとって温度というのは決定的な環境要素だと思われる。 例えば海温が1度違えば海中の生物にとって危機的な異変と感じるはずだ。 今日は秋晴…

島津有理子アナの目標

「NHK島津有理子アナが退局、医師目指す意向」というニュースが目に止まった。44歳で医師を目指して大学で勉強するという。遅すぎることはないのだ。きっと彼女には自分が死を迎える時、現役の医師でいたいと考えたのだろう。彼女がキャスターを務める、1…

読む生活感をとりもどす

サマセット・モーム「月と六ペンス」を読み始める。最初の方は主人公というか話し手が作家なので、イギリスの文芸事情とか業界的な話が幾分気取った文体で書かれていて、とっつきが悪かった。今朝ようやくゴーギャンモデルのストリックランドとパリの場末の…