2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧
知性や想像力が生み出すものは、たいてい時とともに空しく消え去る。宴が終わって1時間もすれば、世代が変われば、消えてなくなる。だが、中にはそうでないものもある。輝きは失うが、また蘇ってくるのだ。しかも、文化遺産の目に見えない要素としてではな…
精神的無力どころか経済的無力に突き落とされ、それでもなおもの言う術を知らぬ者たちは、お上の統制下にあってささやかな幸福を不断に求めてやまない自分から離れて、一個の独立した存在をめざすための第二の生を付与しようとはせず、相変わらず強者にその…
1951年9月27日、アデナウアーは連邦議会で、のちに「歴史的」と形容される演説を行った。西ドイツ首相が、「ドイツ民族の名において」犯された「言語を絶する犯罪」を認め、反ユダヤ主義的煽動に対しては刑事訴追で厳しく戦うという保証と、ユダヤ人に対する…
昨日のブログでぼくはこのように書いていた。 平凡で退屈なこともある日常の、現前しない環境の中に、かけがえのないものが潜在しているのを感じる想像力を磨き続けること。 しかし、どうやってそれを実行するのかが書かれていない。何事も実行されなければ…
これまで書く動機を支えていた主体形成の始源への回想がしぼんでしまった。それは定年後の自分の否定から遡って原因を探るものだったが、現在を肯定してもいいのではないかと考え始めたことと軌を一にしている。またそれは学生運動から切れることはあっても…
平野啓一郎の「本の読み方」を再読していて、カフカの「橋」の読み方のページに大いに賛同できるくだりがあった。、、、カフカ文学とは、後世に書かれた注釈や研究書などを全て含めた現象の総体だ、というのである。どうだろうか。文学は作者と読者の共同作…
昨年11月4日の記事だからもう随分経過しているのに、今日このことを思い出した。 「役に立つなら」村上春樹さん自筆原稿、早大に寄贈 気になったのは「役に立つ」という言葉だ。自分の資料の散逸を心配して母校の早稲田大学に寄付するというのであるが、そろ…
美大受験の高校3年の冬に部屋にこもって、(冬になると少年のぼくは冬眠していた)図書館から借りてきたユトリロ画集から気に入った絵を模写していた、、、、。あの頃の雰囲気が心に湧いてきた。それは現実の空虚をあこがれの風景と物だけで埋めてしまうとい…
また考えるためにこれを書き始める。本当の引退を考えてみる。一昔前だったら65歳という年齢は引退していい時期だった。人生の秋のイメージがふさわしい。ところが意地を張って若い頃に返ってセカンド・リブという生き直しを仕掛けている。当然いつかは無理…
定年退職のあと居場所がなくて息苦しかったのがここ数ヶ月で和らいできている。やはり妻とできるだけ調子を合わせるようにしてきたことが大きいのだろうが、それは愛ということよりも理解によって深められていく認識とした方が実情に沿っている。調子を合わ…
あなたが小説を書けるとして、描いた小説の中に生きたいと思うか、現実の今のままの世界に生きたいと思うか、選べるとしたらどうなるだろうか?精一杯の理想の状態を小説に書いてその中に生きたいという生き方を選ぶか、あまりぱっとしないけれど、夢みたい…
ぼくは間違っているかもしれないと呟いていた。こんな風に何もしないで考え込んでばかりいてはいずれ頭がおかしくなって、日常生活がまともに送れなくなるんじゃないかという気がふとする。昨夜はバッハのシャコンヌをヒラリー・ハーンの演奏で聴いていて、…
あと2ヶ月余りで66歳の誕生日を迎えることになっている。生物的活動というのは不可逆で使わなければ衰える一方なのだが、使っていれば鍛えられてあまり古くはならないみたいだ。週2回以上はテニスをしているので体力的には維持できていると思う。頭も脳は…
昨日この小説の先行きが全く見通せなくなって軌道修正せざるを得なくなったと書いたが、そもそも筋書きはないわけだからそしてあえて筋書きを作らず書き続けるのだから、暗中模索なのは当たり前なのであった。ただゴールだけははっきりしている。自分の分身…
今日は県立図書館で本谷有希子の講演を聞いてなるほどと思ったが、しばらくして自分のことに意識が戻り始めた。彼女のようにはいかないし、すべきではない。書くときは最初はやはり自分を素材にするのかと思った。それぞれの生き方があってそれに賭けるしか…
昨日「日はまた昇る」を歩いて5分で行ける市の図書館から借りて読み始める。2年前は隣の市の図書館で読んでいた。その頃は図書館をあちこちハシゴしていて、図書館の雰囲気の違いを体に染み込ませようとしていた。退職して経験することが限られていたので少…
自分の書いた小説の中に生きるような実験的な小説を何かタイトルをつける必要があると考え始めて、二日目の小説を書き始めてみよう。タイトルは少し考えてから、「未来の小説」が書きたい小説を表しているので取りあえずそうしておこうと思う。あまりにも抽…
今から小説を書き出してみようと思う。正確には人々が小説と認めるような鑑賞に耐えるような文芸作品なのではないから小説とは言えず、でもそう言い張ることによって一つの実験をしてみたいと考えている。自分が書く小説の世界に自分が生きていくようにする…