開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

教養という世界も魅力的

定年退職して8年が経ち、河口から海に押し出されてさてどの辺りでぼくは漂っているのか。ひょんなところから詩人が立ち現れて、改めて言葉の原点回帰が来ていそうな感じがする。言葉の瑞々しさと他者への発露の限界に佇もうとしている。概念や思想に行きつ…

塩田武士「罪の声」を読んだ

純文学好みなので少し読み始めて止まっていて、この本はいくつかのケースのように放置されるものと思われた。それでも気分を変えて読むことにすると面白さに没入することになった。実際にあったグリコ・森永事件を題材にしてできるだけ記録された事件に基づ…

ぼくという主体を産むために

I started thinking about breaking into my own fantasy swamp. Because it's an environment where nothing changes even if we spend it like this. I came up with the idea of coming to the exit of society and following my youth age from behind. …

ぼくは38年間強制収容所にいた

サラリーマン時代、一人の男がぼくの前に立ち塞がった。ぼくは人生で初めて、自分がまるで出来損ないの子供のように扱われているのに直面した。ぼくはぼくの感じたままに生きているのが当然と思っていたが、彼によって根本的に否定するかのように侮られた。…

イノセンスとモラトリアム

あの頃には何もなかった。だからどんな小さなものにも、その世界に入ることができた。何もかもが初めての出会いだった。少女の唄はぼくの全てを満たした。何にも置き換えることのできない、19の早春。真夏の午後の静寂。黄金の夕陽に映える海。どうしてよみ…

定年後にやるべきこと

定年退職後できることは色々あると思う。せっかく会社勤めを卒業したのなら、働くことから離れて与えられた時間を働くこと以外に使えたらいいと思う。労働から離れてサラリーマンで会社組織に縛られて出来なかったことに、残りの人生をかけるべきではないだ…

定年後小説

定年後小説という分野があるのか知らないが、最近読んだ黒井千次の「羽根と翼」と、今日読了した桐野夏生の「魂萌え!」は確実にその分野に入ると思う。一般には誰も指摘はしないだろうが、高齢者までにはとどかない揺れ動く定年後(夫婦にとっての定年後)…

黒井千次「冷たい仕事」の朗読を聴く

たまたま黒井千次の「冷たい仕事」という短編の朗読がyoutubeに上がっていた。どこかの温泉旅館に同僚と業者の接待を受けて泊まった時のことがその小説に書かれていた。部屋に備え付けられた小さな冷蔵庫に霜が出来ているのを発見して、その同僚と「舞い上が…

「春の道標」でやめる

一人の作家を徹底的に読む対象として黒井千次を選んで、5冊目の「春の道標」を読み始めていた。ところがわずか数ページ進んだところで、中学か高校生の主人公明史が1年上の慶子の家に母親の使いで届け物をした時に、途中雨にあってずぶ濡れで家に入り慶子か…

生きた時間に値する見返りの答え

昨日のブログの題「生きた時間に値する見返りは何か」の答えを考えてみた。私の生きた時間だから、私にとって値する見返りになる。今日は答えの一つということになる。いくつも答えが考えられてもいいと思うから。それは、、、詳しい固有の領域を持つことだ…

生きた時間に値する見返りは何か

あの頃どんなことを考えていたかを当時の言葉で再現することはできないが、今現在から推測してだったらおそらくこうではないかと言い当てることはできると思う。それは人間が80年生きるとしてそれだけ生きるのに値するものは何か、という問いだったと思える…

スリリングな回想

Aはそれまでのぼくの住んでいた世界とは別の世界に住んでいた。最初はとても大事に育てられたお嬢さんの姿に見えたけれど、それ程裕福な家庭ではなかった。一人っ子だったから大事にされたには違いなかった。幼児の頃にバイオリンを習いに教室に通わせられた…

少しづつ分かり始める

高校3年の春、ぼくはAと出会った。Aと一緒に生きたいと思った。その時心に刻まれた人生のコアみたいなものが、ぼくのその後を規制していたと今振り返って思える。具体的な職業ややりたい事が見えていたわけではないが、心の奥底で何か懐かしい感じのする、何…

思想の芽生え

その時Aに何と言ったかをどんな断片でもいいから思い出そうと、昨日からずっと念じている。18歳で何が言えるのか、社会に出るには幸いにも大学進学はできそうだったのでまだ猶予はあった。親父は大工でいつも仕事をしている職人だった。サラリーマンや先生の…

青春の存在論へ

ぼくの高校3年のその時は1971年で、昭和46年、18歳だ。何をその時喋ったかはもう思い出せない。ただ青春ドラマのような、好きだと告げるような場面にはならなかったような気がする。もっと一方的に、君のことをこれから名前で呼び捨てにしてもいいかと迫った…

小説を読んで自己教育する

文学を捨てるといいながら今日も小説を読んでいる。小説は他人の人生だから自分は何もしたことにならない、もっと自分の仕事があるはずだと自分を追い込んでいた。しかし厳密には他人ではない、もう一人の有り得たかもしれない自分だ。その可能性が近いほど…

佐野元春に注目した

下がりゆく時代の中で彼は、掴んだのだと思う。新しいサウンドは新しい何かの発見と共にあったはずだ。存在の革命に突き当たったのだと思う。 www.youtube.com www.youtube.com

よく生きたと言えること

せっかく昨日このブログに勇ましいことを書いたのに、それを今日事も無げに否定することを書くことになりそうだ。というのは、いくら自分が決意したことでも自分を含んだ客観的な法則には勝てないからだ。例えば、人よりマシな能力があるとしたら、これまで…

無価値な自分を認める

定年退職後無職のまま過ごすことに後ろめたさがないといえばウソになる。社会的に無価値なことを認めたまま生きるのは、正直に生きることだけは守ろうとする自分には辛い。だったらボランティア活動を始めればいいじゃないかとなるが、それもやりたくないの…

黒井千次「羽根と翼」を読んだ

この小説は、「老いの愉楽_『老人文学』の魅力」で紹介されていてすぐに読んだ。こんな小説があったのだ。学生運動が主題に含まれる小説は大江健三郎、村上春樹を始め、三田誠広、高橋和巳、柴田翔、庄司薫、倉橋由美子、藤原伊織、辻井 喬、桐野夏生、桐山…

モヤモヤの奥にあるもの

同人誌参加への誘いを断ったことの名残りが続いている。小説を書くことは潜在下にずっとあって消えることはないように感じられる。どうしても湧いてくるモヤモヤを解消するのに書くことは、一番の解決策だから。自分は一人ではない。Fはぼくの側にいてぼくの…

経済から宗教へ

時々突拍子も無いことをこれまでも書いてきたが、今日もまたそんなことを書いてしまいそうだ。きっかけはNHKの朝ドラだ。その朝ドラを見た宇野常観という評論家のツイッターに反応してしまった。 舞い上がれの主人公たちが親世代のプライドを守るために次々…