思考日記
人からどう思われるかを無意識に気にしていたようだ。自分が新しくある集団に加わる時に、先輩たちの無意識的な排除にあわないように、郷に入っては郷に従っていた。自分を先に立てず、先輩の後にいつも控えていた。守破離の守段階にいた。そうして遠慮ばか…
おそらく、フロイトの「精神分析入門」を読んだことが影響して、文学の定義をひとことで言うことができる気がする。自分に腑に落ちる定義にこれまで出会わなかった。文学とは、現実に果たせない欲望を言葉の世界で果たすこと、というのがそれだ。フロイトの…
定年退職して7年が経った。働かない毎日を重ねてきて今さらこの生活を変える気にはならない。基本的に気に入っている。68年間生きてきて、ようやく掴んだ安定した状態にある。私はよく迷子になる夢を今でも時々見ることがある。昨晩のは、何か大きなビルの色…
東京大学で「人生に文学を」という公開講座があり、ネット上にオープンになっている。最近亡くなられた芥川賞作家、西村賢太さんの講義というか、文学研究者の阿部公彦氏とのトークが載っていて興味深かった。少し影響されもした。文学を生きている人の言葉…
自分史を書いてみようとしていた時期があった。今ここにいる自分はもう68年間も生きている。この自分とは長い付き合いだ。世間知らずの、自尊心が強くていつも一人でいる、目立とうとしないがいつの間にか周りから浮き上がってしまう、楽天家にして夢想家、…
私は自分を変えたかった。色々手を出しては長続きしないので最低限に絞って、同じことを繰り返してその領域を極めたいと思った。目移りするのがいけないから、情報を遮断したかった。すぐにちょっと面白いと思ったら見てしまう、影響されやすい自分を変えよ…
ほんの微かな力の芽生えを体内に感じている。こんなことはもうこの歳になってからは感じたことがない性質のものだ。それを突き止めてみたくて書き出したのだが、何かを書きたいという意欲も「その中」にある。書き出すと止まらない感じも少し感じる。心に移…
今日久しぶりにテニスに来てた仲間がいて、最近何をしていたかの話になって、ぼくは能登町の真脇遺跡に行ってきた話をした。縄文時代の遺跡でそのほかの遺跡に見られない貴重なものが出土して博物館に収められていた。殆どが1万年前のものらしい。たかだか…
It is easier to sympathize with sorrow than to sympathize with joy. 最近また英語学習に目覚めてきて、たまたまこのphrasesに目が止まった。悲しみに共感するのは、喜びに共感するより容易いというのだ。確かにそうは言えると思う。なぜなら、悲しみに共…
いつも自分に向かって書いているから誰彼と遠慮する必要がない。これは書くという行為を覚えた人の特権のような気がする。全てはフィクションだとの了解があれば何を書いても自由だとしたら、自分の想像力を頼みになんでも書いてやろうとする作家というポジ…
自分は人生の敗北者か、という問いを自分に投げかけたことがあるだろうか?結婚して子供ができなかったから、ちょっとは寂しい人生だったかもしれない。どんなことがあっても信頼を失わない友人はいないが、テニスや読書会などの同好の士には恵まれている。…
ぼくは68歳だけれど、昨年あたりから年齢が気にならなくなってきている。それまでは、ずっと定年後どう過ごすかみたいなことに捕らわれてきた気がする。「終わった人」とか「60からのゴールデンエイジ」だとか、「老後難民」などのワードが気になっていた。…
若い頃は過去より未来が大きい(長い)が、老年になると未来が小さく(短い)過去が大きい(長い)。これは過去だけが確実な存在なのだから、本当は過去が大きくなる老年の方が豊かなはずだ。もちろん人生には浮き沈みがあり、良い時もあれば悪い時もある。…
もうどうやってその人のブログに至ったかは忘れてしまったが、文章が上手くて読むとその人らしい流れや勢いが感じられて、あとで読めるようにURLを保存した。読者になれば済むのだが、その人のブログ読者は6人だった。どうして、いい事を書いている割に読者…
76年前の今日、広島に原爆が投下されました。これは私だけに起こった特殊なことでほとんど無価値なことだろうと思いながらも、誰かが読んでくれることを前提に書いてみます。日本人の誰もが被爆の悲惨さから、戦争はもうこりごりと感じていると私は思ってい…
和歌や俳句などの「謳うスキル」と小説や評伝などの「物語るスキル」は、文化を発信し蓄積する上で欠かせないものだ。聞いたり読んだりする受容する力ではなく、止むに止まれない発情の、吐露の形式だ。ぼくにはこれが足りない。地元の公民館で読書会に参加…
何か得意なものがあって 人より優れたところがなければ 相手にされない社会って 決していいもんじゃない、と 君は思わないか? 何から何までランキングして競わせて 勝者だけに女神の微笑みが与えられる みんな楽な方に行って無責任な観客になろうとする 何…
人生に敗北はない、くたばらなければいいと書いてきた。しかし、敗北に気づくことは正しさを引き受ける人間だけができることだ。スポーツにおいては勝敗は明確である。勝敗にはそれぞれ原因があって、勝ちたければ負けの原因を把握して、原因を一つ一つ潰し…
どんな風に書いたらいいか、ここでは思い悩まないことにしよう。自分だけのことだから誰にも迷惑はかけないはずだ。テニスをしたり、本好きの仲間とのおしゃべりだったり、ちょっとした楽しみのような恋心を秘密にしたりなどといった、日常の世界のことはど…
以前のブログで、山本哲士氏の吉本隆明「日本経済を考える」講演に対する解説を読んで、ぼく自身の感想を書いていた。それは生活者にとっては経済から何を知ればいいのかという問題だった。今ある経済学は支配者の学であり、それを生活者の学にするには、支…
何らかの制限が必要と感じ始めている。現代社会はネット環境やコンビニなど便利になって、簡単に情報が手に入ったり簡単に物が買える、ということに注意を向けたいと思う。例えが変かもしれないが、テニスでスキルの知識は簡単に手に入るが、そのスキルを身…
自分の行動を変えるには意識を変えればいい。自分を作っているのはほとんど意識なので、意識を変えることに注意を向けて自分をコントロールするわけだ。ぼくは本を読むことが意識を作ってきたと思っている。もとより環境が人間を作るのだけれど、環境を一定…
一昨日のブログ「目覚めた人の世界観」で、アメリカの大統領選挙を巡るトランプ対バイデンの抗争について、不正選挙を暴くトランプ側に正義があるとしてコメントしたが、それは自分のコメントとしてするべきではなかったことについて今日書いておきたい。つ…
今日うつのみやに注文してあった古井由吉の「書く、読む、生きる」が届いていたので、取りに行った。すぐに読んでみると講演やエッセイを集めた本だった。ぼくは「杳子」だけしか読んでいなかったが、すぐにその世界に馴染んだ。すぐに才能を感じた。三島由…
毎日同じことの繰り返しのようで、気づかないように少しずつ自分が変化している。突然何の予兆もなくちょっといつもとは違った気配が現れる。内面のどこかからふっと漂ってくる、懐かしい感じ。ああ、これはぼくが屋根裏部屋のような自室に閉じこもって、夢…
どうも自己紹介が苦手だ。わたしはこういうものですと言ってしまうともうそれは自分でないような気がする。わたしは何者でもない男です、では自己紹介にならない。只の人には違いないわけだが、それでは区別がつかない。名前を言っても興味を持たれることが…
あまりにも人生無意味だとする無気力人間が多いので、むしろ人生には意味があるという方にぼくは賭ける。もっと正確にいうと、最初は意味はなくて、だんだん無意味に飽きてくると、意味を感じたくなるのだ。さらに言うと、少年のぼくの周りには意味があふれ…
ぼくは今生きている。幾分退屈してきたのでこのブログを書き始めることにした。妻は今晩の献立に仕方なく準備にとりかかった。安易な、スーパーで買ってきた刺身にしなかったのは、昨日回転すしのランチでたっぷりにぎりを食べたからだ。我が家では回転すし…
多分ぼくだけじゃなくほとんどの人が、人生には意味がないか認められないと思っていると思う。ずっと小説を読んできて、人生は無意味だというメッセージばかりだったように思う。いわゆるニヒリズムがあたりまえになっている。ぼくが信じている仏教でも人生…
いかにもドイツ的な構築力を感じる、教会音楽。ここでは敢えてバッハではなく、デミアンにも出てくるブクステフーデを紹介したい。ちなみに村上春樹は長編「1Q84」を予め構想することなく、バッハの平均律クラヴィーア曲集を基に書き進めたそうである。音楽…