開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知るために、そしてそれを解くために。

自分史

哲学は考える場を作る

「言葉で人を殺す」という表現は、その当時ぼくがすでに知っていたことではない。もし知っていたら言葉に対する耐性のようなものができていて、あれ程までに落ち込まなかったと思う。その表現は数年経ってから忘年会の席で社長の訓話のような話の中で出てき…

サラリーマンは社畜か?

社畜という言葉を知っていたが、それは自嘲する言葉であって本気で自分たちを社畜だと思っていた人間は稀だったと思う。特に地方の民間会社でそれなりに社歴のある会社では、社風が古くさい面が残っていてよく言えば家族的だったりする。ぼくは紹介された会…

文学かぶれの少年

進学校に入ってから文学に出会って世界観が変わって、受験に興味がなくなってしまった。多分親は期待していたかもしれない。祖父は合格発表の日一緒についてきてくれて、合格を確認しての帰り道に繁華街によって鰻重をご馳走してくれた。孫の中でぼくは二番…

のみ込みの遅い男

村上春樹がどこかのエッセーの中で、自分は事態をのみ込むのが極端に遅い人間だということを述べていた。その時、自分が直面していた事態を理解するのに時間がかかり、本当は取り返しのつかない重大な局面にいるのにそれに気づけない状態が続く、そういう巡…

本当の人生とは

サラリーマンであった時は生活のために目の前にある、与えられた仕事をこなして同僚との競争に明け暮れていた。出世を望まぬマイペースの生き方をして、周りの出世競争には巻き込まれないようにしていたが、給料や職場配置で微妙な格差を数年おきくらいにつ…

並んで歩くだけの閉ざされた時間

あの頃を思い出すと、よく金沢の路地のあちこちを並んで歩いていたことがあった。いつもどうしてか曇天の日が多かった。雨の日もあってその時は二人で傘の中にいた。何を話したかは思い出せない。その少女の友達がぼくの知っている男のことが気がかりで、適…

見捨てられていた25才

地元の中小企業に就職して3年目。大学時代の誰にも連絡を取らず、ひっそりと一人暮らしを始めたアパートと会社を往復する毎日が続いていた。大学で出会った「思想」とも決別して心は空っぽだった。段々と孤立感を噛みしめることが多くなり、サラリーマンにな…

Reminiscence

何でも英語にしてみると無味乾燥な硬い言葉が生まれ変わるような気がする。Reminiscenceとは回想力のことだ。定年退職後の生き方の重要な「仕事」として回想があると思っている。時間だけはたっぷりあるのだから、自分の人生のあらゆる局面を回想することは…

Can you talk about your dream?

大学を卒業して兎にも角にも地元の小さな企業に就職して落ち着いてきた頃、高校の時に付き合っていたガールフレンドと住宅街の喫茶店で話すことがあった。彼女は金沢の文化センターで講師の口を見つけて、デザインを教えているということだった。その時もら…

林俊介さん

かつてはノートに何かを書きつけることでかろうじて生きている証を得ていて、それがブログという仮想ネットワークに場が移って、自分との対峙に第三者が観客のように眺めるような空間に、いま同じように何かを書きつけようとしている。微妙に生きている証が…

イメージとしての反体制

サラリーマンとして過ごす38年間を除き、高校生から大学生の間ずっと学生運動や反体制、反戦の活動に心惹かれるものがあった。1年間だけは当時自分の身近にいたマルクス主義の党派の人たちの集会やデモに参加していた。しかしいわゆるゼネストやバリケードを…

想い出のシャコンヌ

生のクラシックコンサートに行けるような身分ではもちろんなかった。道端に置いてあった森永アイスクリームのベンチを勝手に拝借して、アイの所は「愛」に塗り替えて置いてあるような薄汚い美大生の下宿部屋で、バッハのシャコンヌが鳴り響いていたのは割と…

内部体験1970-1972

地元の進学高校に進んでから両親、親戚からの受ける印象が変わったことに少し得意になっていたかもしれない。本格的な大学受験準備に入るまでの猶予期間に、ぼくは世界文学全集を読み始めた。その時内部世界が作られ始めた。ぼくの中に「内面」という誰も侵…

部屋の中の熱情

美大受験の高校3年の冬に部屋にこもって、(冬になると少年のぼくは冬眠していた)図書館から借りてきたユトリロ画集から気に入った絵を模写していた、、、、。あの頃の雰囲気が心に湧いてきた。それは現実の空虚をあこがれの風景と物だけで埋めてしまうとい…

夢想が続けばどんなにいいだろう

ぼくは間違っているかもしれないと呟いていた。こんな風に何もしないで考え込んでばかりいてはいずれ頭がおかしくなって、日常生活がまともに送れなくなるんじゃないかという気がふとする。昨夜はバッハのシャコンヌをヒラリー・ハーンの演奏で聴いていて、…

定年退職者の手記(総集編)

定年後をどう生きるかみたいな本がよく売れているらしい。自分もその渦中にいて、本にあるように自分も残念ながら定年後居場所がないことを認めないわけにはいかない。それは敗北感がともなう。 スターバックスは「第三のプレイス」がコンセプトで、自宅と会…

杉浦康平と稲垣足穂を知る

会社を定年退職してしばらく経って第二の人生を模索していた頃のFBの記事を見つけた。高校時代を回顧することに虚しさを感じ始めて、美大に進んでから杉浦康平や稲垣足穂を知ったころにも熱い時間があったことを思い出している。今ならどれだけ時間を使って…

これがぼくの現実

多分坂口安吾を読んで影響されたからだと思うが、自分のこれまでの書き方を変えてもっと自由に自分の今を語ってみたくなった。真実や本当のことというのは何かに隠れていて、滅多に明かさないもののように暗黙の了解がある。ぼくも少しはそんな話がある。そ…

2年前の誕生日と今日の誕生日と

「63歳の誕生日に」 子供のいない、妻と二人の家庭を33年間続けてきて、自分の誕生日に特別な何かお祝いするという習慣がない。今日もお祝いらしきことはないのだが、職というものから離れて気ままに生活を送るようになってからの心境の変化を、63歳の誕生日…

妻はどこにいるか

書くことで意識の空間ができるので書き出していくと、次第に自分が膨らんできて自分がそこで息を吸うようになる。息を吸い始めると生きている感じが生まれてきて、考えることもできるようになる。そうだ、書きながら考えるやり方が最近身についてきた気がす…

妻について

妻について書くことにする。それは自分や友人について書いているのだから、妻についても書かないのはフェアじゃないと感じるからだ。しかし、、、 先ほどから妻のことをどう書こうかと思いあぐねている。これまで日記やブログに妻、または妻となるFについて…

自分史3

高校3年の同級生 Aとは東京と金沢で進路が分かれて離れ離れとなったわけだが、金沢で最後のきちんとした別れ方をしなかったこともあってしばらくして手紙をもらうことになる。その日、自宅から歩いて通える美大から夕方帰宅する時に、なんとなく手紙が来る…

自分史2

ぼくは大学3年次を留年している。とても傲慢に聞こえるかもしれないが、その時これまでずっとまあまあ順調に来ていたので1年ぐらい猶予期間をもらってもいいのじゃないかと考えて、本当に自分の支えになる世界観を築こうと自主留年したのだった。作家の三…

自分史1

中学3年の夏休み、地方都市にいて遊ぶことを知らずに職人の家庭で育ったぼくは、不良仲間の誘いにはのらず、ストイックに勉強する習慣の中で過ごすしかなかった。親は日曜もなく働きづめだったので、結果的な放任主義に任せられた。たしか主要5教科の夏休み…

夏とカオスに触れていたころ

ぼくが美大を受験する前の年は、県内でも進学校として知られる高校にもかかわらず美大に入学した先輩が14,5人いた時代だった。ほとんどがインダストリアルやコマーシャルデザインの方で、油や日本画や工芸の方には進まなかったように思う。(途中で転校した…

運命を感じる感性

自分の運命を自分で、自由を確保しながら拓いていく、ということが果たしてできるものなのか?先のブログにも書いたが、運命という状況をまず認識できなければお話にならない。その状況が何で構成され、そのうち具体的で目に見えるものがあれば、それを感じ…

書く視点の座標を求めて

どこに位置を占めれば時代を見渡せるように書くことができるようになるかを、一応の目論見として書いてきたが、あまり成功したとは思えない。志望大学を間違えたという気づきの後、なし崩し的に美大に籍を置くことになって、どこにも自分の居場所が見つけら…

人は才能などなくても生きられる

人は才能などなくても生きられる。別にロマンのない平坦な人生でも、何も起こらない人生でも生きるに値しないことはないはずだ。誰かに自慢する必要もないし、陰口を叩かれるようなことがあったところで気にしなければいいだけのことだ。学生運動にかかわっ…

自分には才能らしきものがあったか

それにしてもどうしてぼくらは、あらかじめ青春を失っていたのだろうか?失われていたのは、破壊されていたからだろうか?きっと大学という場のどうしようもない自由さが、虚しさを作り出していたのかもしれない。ぼくの入った美大では、みんな絵描きやデザ…

転換し始めた意識4

そうだ、この流れ(書く視点を見つけるまでの意識の流れ)を忠実に辿り続けていけば「オリジナルの世界を作る」壁は越えられそうだ。 叫ぶのは中にあるものを吐き出す方法がそれ以外にないからだ。青春のあの頃ぼくの中には何があったのだろうか?むしろ何も…