自分史
高校1年で世界文学全集を読み始めて、スタンダールとかデーテとかドストエフスキーなどの小説を、何もかも新鮮なことばかりに出会って夢中になって毎日読んでいた。当然恋の擬似体験もすることになる。初恋もしないのにいきなり複雑深遠な恋にはまってしまっ…
思い出の詰まった白い雲が湧きあがる 青い空に出現してくる夏が一人のぼくを元気付けてくれていた 今年の夏休みは特別に君と知り合って二人の時を持てるのが不思議だった 高校の近くの冨樫プールに誘ったら来てくれた 一緒に泳いだ記憶はないからただ黙って…
このまま大した事もなく順調に老いていって僕の人生も終了になっていくのかと思いつめていた頃、どうしてもAのことが気にかかり始めていた。苦しくて何も手につかないほど身いっぱいAと関わっていた頃が、自分の人生にとって、ともかくも重要な意味を増して…
40歳を過ぎた辺りから心境の変化が現れ出した。このまま今の会社で打ち込める仕事がなく、やらされる管理下で給料のために働いていて良いのだろうかという疑問にとらわれていた。何か心に空洞ができた感じがしたかどうかは分からない。ローンで家を建てたば…
もう悲しくて苦しくて寂しかった孤独死寸前の時期を脱して何とか高校へ行っていた頃、多分必死で母はぼくを支えるのに大変だったと思う。どうしていいか分からず祖父に相談して大学病院の精神科で診てもらうのに付き添いをお願いしていた。しばらく精神安定…
世界に飛び出すまでのモラトリアムの時期があった どんな人にも孤独が初々しい頃があるのだろうか もしこれを読んで呼応してくれる人がいるだろうか 憧れに身を焦がすほどの疾風が過ぎ去ったころ 木枯らしが落とした樹の葉たちの路を 上は萌黄色のセーターを…
I was shy and timid, so my love was always unexploded. 今から思うと、ぼくは恋愛感情はあったが恋愛体験はできなかった。恋愛小説のいくつかを読んで、その事実を認めざるを得ない。昔はぼくも恋はしていたと思っていた。好きでいてもたってもいられなく…
最近、ふとした時に、電気ピアノの音楽が無性に聴きたくなって、「electric piano」と検索してYoutubeでいくつかの曲を聴いていた。今日偶然にその曲が現れた。偶然じゃなくて、Youtubeのレコマンド機能から出てきたのだろうが、50年ぶりくらいにその曲と再…
自分がこの世に生を受けて今まで生きながらえてきた道筋の意味を考えると、偶然の連続に過ぎない事実のつながりに何かを見たくなる。時代と場所が限定される。偶然隣り合わせてある時期を過ごした人々がいる。大学まで出させてくれた両親がいる。大学で目に…
今から思うと、ぼくの高校時代の3年間は他の時期とは著しく違っていた感じがする。事実だけを振り返れば、受験勉強に明け暮れ、同級生とは突っ張り合い、文化祭や修学旅行などのイベントがあった。事実はぼくの外側を記録するに過ぎない。ぼくにはあの時期に…
喧騒の時代の、遠い夏の日の午後 M・Aは私の家を訪ねてきた 実家通いだった私の住所をどこで調べてきたのか 私はその時、家にはいなくてM・Aは母に会って私の名前を呼んだ 私がとりあえずどんな所に住んでいるのかを 確かめにきたのだろうか 私の母にどう自…
失われた時代の雰囲気を再現したいとこれまで何度も思ってきている。70'sの音楽を集めて今聴いている。サイモン&ガーファンクルやTレックスやデビット・ボウイやドアーズなど。ユーミンと五輪真弓とハイファイセットなど。泉谷しげるや吉田拓郎や井上陽水な…
邦題が「そよ風の誘惑」で、オリビア・ニュートンジョンの「Have You Never Been Mellow」という曲を、昨夜Youtubeで偶然に聴いてその歌詞に惹かれた。どういうわけか、I was like youに心を動かされた。ぼくが英語学習の初心者なのもあるが、歌の意味が自分…
企業内のサラリーマンという属性では、一方的にコントロールされる方になってしまう。だからサラリーマンから自己を分離し、一旦抽象的な個人になる必要がある。組織内の人間関係から独立した抽象的な個人を壁の内側に創ることになる。その頃インターネット…
会社で個人の自由を奪われている自分は仮の存在だとみなすことを外在化と呼ぼう。会社の拘束から離れて自由な存在に帰ることを内在化と呼ぼう。内在化された自分は自分のものであり、改めて作り上げることが始まる。ぼくが社長の一言から壁を作って始めたこ…
社長の言葉による攻撃に対してぼくがとった最初の対抗策は、自分と会社の間に壁をつくることだった。もうそれ以上言葉の進入を許さない強固な壁を作って防衛することを考えた。養老孟司は人生には3通りの生き方があり、壁の内側で生きるか、外側で生きるか…
今から思うと、ぼくの人生の中で、38年間のサラリーマン時代は特殊な閉鎖社会に閉じ込められていたような感覚がする。経済的には現実世界と繋がっていたのだろうが、文化的で自由な環境からは断絶した、社長親族を中心とした村社会に繋がれていた気がする。…
ぼくの個人的な体験として地元の会社に就職して、38年間働いたことの自己評価をしてみたい。今になってまだそんなことを考えるのか、過ぎ去った過去をいつまでも引きずるのか、呆れるばかりだと思われるに違いない。生きていくにはそうするしかなかった、よ…
(この動画の17:43あたりで、先生の研究室に自治会系の学生が出入りしていたことが明かされている。)源氏物語から岡野弘彦氏を知り、国学院大学の名誉教授ということからこのサイトを知り、ぼくの青春との縁を感じた。
ぼくが19の頃の工房で モーツァルトとグレン・グールドという二人の天才に出会っていた 人生の可能性がその時 then 開かれていたのに 全く予備知識もなく、無防備で 阿呆のように呆然としていた 頭に何もなかったから 刻印のようにこころにそれは刻み込まれ…
昔、金沢の竪町通りに「きゃすぺ」というジャズ喫茶があった。ぼくは高校生の頃から行っていて、サラリーマンになってしばらくして店はなくなっていたから、10年くらいは通っていたことになる。小さな店だったが、居心地は良かった。3年ほど前、吉祥寺にある…
今日「大阪」を読んでいて、作者の柴崎友香の中学から高校時代の自分を回顧する場面が詳細に綴られているのを、やっぱり都会の女子だなと感じた。流石に作家の記憶は鮮明で具体的だった。漫画やテレビ漬けの小学校時代だったのはぼくと同じ環境と思えるが、…
昨日のブログで中学生の時から心の空虚が育ち始めたと書いたが、心の空虚は自分の成長に繋がることが確認できてよかった。自分の成長にも歴史があり、全ては繋がっていることが今なら俯瞰的に見れるので理解が可能になる。心の空虚で今思い出すのはそれが一…
最近ブログに書いてきたことで、自分がどういう人間か真実が見えてきた気がしている。小学校までは自我が生まれていないので、両親や学校の先生やクラスのみんなと穏やかな一体感があって幸せだった気がしていた。ところが、実際は表面化しない妬みを持たれ…
もうどんなことを書いて傷ついても、その傷の中に沈潜して回復するだけのたっぷりした時間があるのだから、過去に苦しく孤独で誰からも無視されていたことがあっても平気で振り返ることができる。自分だけが周りから拒絶されて、寂しい穴の中に気が落ち込ん…
ぼくは普通に生活している中では、仕事以外で会話に出てくる言葉には興味が起こらないので自然に無口になっていた。どうして自分の人生がこうなのだろうという自己探求が、定年後の主なやることになっている。今日読んでいる小説の中の会話から、突然自分の…
67年間生きてきてこれまでを回顧して、自分の人生がぼんやりとした輪郭しか持たないことにほとんど絶望する。何も確かなことを全力でやってこなかったという冷厳な事実に意気消沈する。戦前戦中戦後を生き延びてきた、ぼくの父親世代の過酷な人生からほとん…
私のサラリーマン生活は24歳から62歳までで、38年間になる。大学は美術大学で3年次自主留年して5年間在籍した。地元に残り数社回ったが雇ってくれるところはなかった。結局祖父のコネからY社入社が決まりかけていたが、不況からY社の下請けの小さな会社に入…
居心地のいい場所を求めるのではなく、ここを居心地よくすることを考える。どれくらい前だろうか、つい最近までのような気もするけど、いつも居心地のいい場所を求めて心は満たされることがなかった。東京には気の利いた場所がある気がしていたが、東京には…
自分のことを書くことは真実に降りていくことだ。これから書くことは涼しい顔をして何事もなかったように日々を送っている自分を晒すことになる。こんな世間知らずのいい歳をした男が同じ時代にいてわざわざサンプルになるのを、偶然誰かがこれを読んで多少…