開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

2017年3月30日付の日記から

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 水曜日が家の掃除の日になっているのを昨日忘れたので、まず掃除機をかけることにした。明日のテニスの予約を取りに行って早めの昼食はおろし蕎麦を食べて、午後は今日から始まる現代美術展を見にいくことにする。有名作家の作品ではないが、地元の作家のわかりやすい具体的な創作にゆっくり向かい合うのもいいかなという気分で、会場の県立美術館と21世紀美術館を回った。春の陽気の中を二つの美術館を歩いて回るのは気持ちが良かった。日本画と工芸の展示室は入館者がまばらで、ほとんど作者と一対一で向き合って観賞できて濃い時間を持った。彫刻の展示室ではおしゃれな老夫婦を見かけ、その若々しいファッションセンスを展示作品と同じくらいの熱心さで観賞した。

最後に油絵の展示室を見て気づいたのは金沢はやはり伝統的な日本画や工芸の作品の完成度が高いということだった。洋画には訴えるものが弱かったと感じた。日本画や工芸の中には革新的な試みをしている作品もあった。伝統があるからこそそれを破る力も育つのだとの感慨を持った。そういえば今読んでいるジョイスの「ユリシーズ」も伝統を踏まえた実験小説だから20世紀の記念碑的な作品になっていると言われている。