開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

あの時代を生きた世代

年齢を重ねるごとにナイーヴな心情をかけ替えのないものとして


慈しむ気持ちが成長してきている


それはあの時代に青春を過ごしたからこそであると


失われた時代を慈しむことと重なることになった

 

今はぼくより数年下の世代にはもとより通じないが


不思議なことに40年もすると珍しがられる


ぼくたちにとって、どの時代にもない独特の乾いた


にじみ出るような存在の心地よさがあった

 

エロスに知的なエレガントが加わる風情には


東から吹いてくる風がどことなくオリエントを感じさせ


ぼくたちは無国籍な潮流で日本の伝統に


新しい優しさを重ねようと、不遜にも挑戦したのだった

 

吉田拓郎アジテーションのように歌った


泉谷しげるは情念の解放区を歌った


ユーミンは無国籍の女神だった


村上春樹はキザな語り口を発明していた


村上龍は暴力とセックスを想像力によって解放した


大江健三郎はいつもそばにいてくれた


サルトルは状況を語りどちらの立場をとるか迫った


埴谷雄高は文学の力を信じさせた

 

乾いた夏の、都市の蜃気楼のような


時間のない形而上的な永遠に育てられた世代だった