カズオ・イシグロの「日の名残り」を読み終わって、最後がユーモアの勧めで終わっているのが感慨深かったと昨年の暮れに友人にメールした。友人もユーモアについて感慨深いと返信してきて、それからしばらくユーモアがぼくの頭に残り続けることになった。そういえば村上春樹の「1973年のピンボール」を読んでいて、トロツキーがシベリアを4頭のトナカイで脱走した時、革命を誓ったとされ、それで赤の広場には今も4頭のトナカイの像が立っていると書いてあるが、それは「真っ赤な」嘘だったというのもユーモアなのかと思ったりした。