美大受験の高校3年の冬に部屋にこもって、(冬になると少年のぼくは冬眠していた)図書館から借りてきたユトリロ画集から気に入った絵を模写していた、、、、。あの頃の雰囲気が心に湧いてきた。それは現実の空虚をあこがれの風景と物だけで埋めてしまうという「部屋の中の熱情」だった。思いっきり世間知らずにいられて、内面に閉じこもることが受験生ゆえに許されていた。ぼくにとって幸福な時期のひとつだった。
______上の文章はぼくの過去のブログから引用したものだ。この中の「部屋の中の熱情」という言葉が昨日のブログの引退生活をうまく表していると感じられた。きっとあの頃の雰囲気がまだこころの片隅に残っていて郷愁を感じさせるのだろうと思う。世間では閉じこもりや引きこもりを病気として扱う風潮があって、せっかくの幸福な充実感を味わうチャンスを奪っている気がして残念に思っている。
定年退職後の引退生活にはこの「部屋の中の熱情」は欠かせない要素だと主張したい。