以前に「69」を図書館から借りてきて読み始めた時に投稿していたが、読後の感想は投稿していなかった。これは政治的な学生運動が騒がれた時代にあって、高校生が反抗的に面白がることに情熱を燃やした悪漢小説で、村上龍の自伝小説でもあるということだった。あの小説に書かれてあったことが小説家になってからの後付けでない「事実」だとすると、一人の高校生が中心となってバリケード封鎖をやり刑事から取り調べを受ける騒動は、現在の時代では考えられないことだ。ぼくは小説家になるには、平気で嘘をついたり他人を利用するくらいでないとできないと、サルトルを読んだ時と同じ感想を持って、村上龍に幾分嫉妬した。思想的な感受性はその小説で感じられなかったが、天然のエゴイストだからこそ中心となって時代のイベントを仕掛け実現できるのだと思った。