開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

街の昼にただよう風に

、、、、ぼくは中学までは大人しいよくできた子だった。小学校では先生方に気に入られよく噂に上ることもあったらしい。(これは同じ小学校に勤めていた叔母から聞いたことだった)中学では繁華街から通って来る幾分不良の同級生の仲間には入らなかった。高校に進学してぼくは初めて自分に自信を持つようになって、毎日校舎内を考え事をしながら闊歩していた。その時周りからは、天真爛漫な男として見られていたようだった。いつも大抵は一人だったが、淋しくはなかった。毎月何らかの試験があるような学校だったが、しっかりプログラムが組まれていて、絶えずやるべきことが目の前にあったから淡々と消化していればよかった。しっかり将来に備えたレールが引かれていたわけだ。何も疑問を持つことがなければ、とても爽やかでのびのびと過ごせる自由な雰囲気のいい環境だった。

でもそれは長く続かなかった。教科というものが易しいものから段々と難しく設計されているように、全てに高度化と複雑化のプログラムが組まれていた。どこかの時点でぼくは歩調を合わせることができなくなったのだろう。その時点で本当は対策を講じるべきだった。もっと友達と付き合っていればよかった。つまり周囲の情報を集めて自分の方向性をいろいろ考えてみる配慮を持つべきだったが、それまでの自分のままが心地よかったからチャンスを見つけられなかった。

、、、、こんな回想をするつもりはなかった。今日その高校の校舎の向かいにあるパン屋に行って、ふと当時の空気が蘇ってしばらくそれに浸っていた。こんなひと時ほど贅沢な時間はないと突然の行幸に我を忘れて車の中でぼうっとしていたのだった。