かつてのぼくのブログに「世の中は、支配する人と、支配される人にわかれている」とした、ある読書会主催者の主張に対する反論を載せたことがあった。その主張の根拠がアリストテレスの自然法にあり、ぼくは哲学者を論拠とするなら、二つの世界大戦後の哲学者にすべきだと書いた。そこで今日はその哲学者としてフーコーを登場させたい。
フーコーによれば、権力関係の出発点に、全ての関係の母体として、支配者と被支配者の大きな対立があるのではない。権力とは「力関係の多様性である」。権力は所有するものでなく、行使されるものである。「権力は至る所にあり」中心を持たない。国家は権力の中心ではない。権力は下からもやってくる、、、
だから、世の中は、支配する人と、支配される人にわかれているのではない。支配する人が他のところでは支配されることもあるし、支配される人は支配する人にある場面では変わっているかもしれないのである。そのような基本的な認識を持った方が、現代世界をより正しく見ることができる。