あの戦争がなぜ始まり原爆が落とされるまでやめようとしなかったのか、個人には止めようもなく運命のような恐怖に慄き続ける社会がどうして続いたのかが、ぼくにとってずっと問うべき謎だった。ぼくの父の世代にはそれが存在していたことが、誰もぼくの周りで語らなかったのでずっと信じられないことだった。あの戦争を体験し悲惨を身近に見てかいくぐってきたリアルさがなかなか受け止められなかった。今日ふとある考えが頭に浮かんだ。戦前戦中だったら絶対口にできないことだ。戦争は軍人が国民を巻き込んで起こすものだという当たり前のことだ。国民の困窮を救うにはそこに占領地を作ることだと陸軍大臣が発言した。軍人が政治を主導していた。軍人が世界経済を分析できるかのように力で発言を押し付けてくる。軍人が権力を握ると戦争が起こる、というのがその問いの答えだった。高性能の兵器でできるだけ多くの敵国民を殺すことができるかを正気で競争するわけだ。軍人という属性はどういうものなのだろうか?人を殺傷できる武器を持つことが許されている。その根拠は何なのか?自力でぼくは考え続けていきたい。