開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

小説を小説だと思って読むな

小林秀雄のオーラの正体を鹿島茂が「ドーダの人、小林秀雄」で暴いてくれていても、ぼくは「小説を小説だと思って読むな」という小林秀雄の指摘には真実を突いたものと、信を置いている。小説を小説として読まない方法を発見したからあれだけの批評家になれたのだと思う。小説を書くとき既に作家は小説の世界の外にいるのだから、むしろ読者の側の価値観にいる。読者は小説を読むことで小説の外で構想する作家の実人生を読み取れるほどでなければならないと言っているように、ぼくには思える。