今日ぼくとしてはこれまでに完全に噛み殺していた、自分を非難する世間の声を久しぶりに自分の内部に聞いてしまった。そう、健康でまだ働けるのに何でお前は何もせず家でぶらぶらしているのかという声だ。近所にNさんという元民生員の人がよくうちの前を歩いて通るのだが、ばったり目があう時以外は挨拶はしない。今日2階の窓から彼女が通るのをチラっとみてしばらくしてから、その声がじわっと湧いてくるのを感じた。
これまで妻や妹から何か仕事をしないのかと言われていてもまるっきり平気で、働かないのは定年退職者の当然の権利のように主張していた。せっかく38年も働いたのだから働かずに食べていける環境を生きるのは、与えられたチャンスで生かさなければもったいないくらいに考えているのである。その強がりが今日崩れかけた。
中島梓の「コミュニケーション不全症候群」という本を最近野々市市図書館から借りて読んだのだが、オタクや拒食症や腐女子の精神構造には共通してコミュニケーション不全症がある、と説いていた。世の中のこうでなければならないという圧力に過剰に適用しようとすることから、コミュニケーション不全症という病気にかかっていて、それは人が思う以上に危険な社会的兆候なのだと警鐘を鳴らしていた。
ぼくのような定年後何もしない初期高齢者もこの病気の予備軍になりかねないと思った。働かない人は存在していけないというプレッシャーを感じても、過剰に適用しようと考えてはいけない。このプレッシャーを何かで返す、自分なりの「仕事」をしようと思っている、、、まだはっきりはしないが。