開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

見捨てられていた25歳

地元の中小企業に就職して3年目。大学時代の誰にも連絡を取らず、ひっそりと一人暮らしを始めたアパートと会社を往復する毎日が続いていた。大学で出会った「思想」とも決別して心は空っぽだった。段々と孤立感を噛みしめることが多くなり、サラリーマンになりきれず職場で完全に浮いてしまうこともしばしばだった。年に1度の慰安旅行で温泉で一人離れて湯に浸かっていると、見かねて社長が声をかけてくれた。昼休みに一人でカウンターでラーメンを食べていて、後から専務らの数人が入ってきたのを無視していると、こっちへ来いと呼ばれてしまったりした。日曜日、一人レコードをかけて聴いていたアパートには誰も訪ねてこなかった。全く自分と気の合わない世界に飛び込んでしまっていた。周りと波長が合わないぐらいは想定内のことで、そんなことで泣きごとを言っていられる身分ではないと勝手に思い込んでいた。その頃もし村上春樹を読んでいたら、参考にできることがいくらもあったはずだ。どんな本を読んでいいかもそのころはまだ何も掴んでいなかったような気がする。今日その頃の雰囲気が南佳孝のレコードをSpotifyで聴いて甦った。辛さを思い出して今の幸せを噛み締めた。そして今自分が立っている場所をしっかりわきまえておこうと思った。

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