開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

吉本隆明の村上春樹批評

「ふたりの村上」書中の「国境の南、太陽の西」批評を読む。流石にその読み取りに舌を巻いた。これまで何人もの文芸評論家の村上春樹論を読んできたが、作家である村上春樹を凌駕していなかった。吉本隆明だけが、作家が読者に甘えることで逆に創作を読者におもねるようなるだろうと、春樹を因果なことだと冷笑している。芸術の本質に身を置いて文学にあらゆる快楽を味わい尽くしているこの批評家には、性行為を描いても意図が透けて見えてしまう。逆にいうと、性行為の描写にも意味を認め批評の対象にしている。格が違うというところか、、、

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