ぼくは金沢で生まれたので石川県民でもある。普段そんなことは意識しないが、身近なことから始めようとすると今住んでいる場所が意識される。今住んでいるのは金沢の隣の野々市市だが、幼稚園から小学校、中学、高校、大学とずっと金沢だった。金沢での世界的有名人だと鈴木大拙と西田幾多郎(生家は宇ノ気町だが金沢の四高で学んでいる)がいる。鈴木大拙の生家を小学校の時にアメリカ人から教えられた。その頃は本多町にアメリカ文化センターがあって、鈴木大拙の生家は本多町にあった。どうして日本人の小学校先生からではなく、アメリカ人から教えられたのか小学生だったぼくはちょっと恥ずかしい気持ちがしたものだった。
ところで石川県まで範囲を広げると、中谷宇吉郎という雪の研究で世界的に有名な物理学者がいる。それと世界にはまだ名が知られてはいないけれど世界的なレベルにあった絵師、長谷川等伯も挙げておきたい。金沢には三文豪と称される、泉鏡花、室生犀星、徳田秋声がいるが、実を言うとまだほとんど読んでいないので馴染みがない。徳田秋声は川端康成が絶賛しているので、これから読んでみようと思っている。とにかくこれらの偉業をなした文化人を尊敬し、自慢してもいいと考えている。あと付け加えたいのが、七尾に拠点を作った仲代達矢だ。石川の人ではないが、七尾にシェイクスピアをはじめ世界的な舞台を実現させている。能登演劇堂を通じて七尾が世界に通じている。七尾でまた思い出したが、女子テニスでオープンが開催されてランキングポイントがつく試合が行われるコートがある。テニスで世界的な選手として神和住純がいる。ちょっと脱線したかもしれないが、言いたいのは身近な所が世界に開いているということ。わざわざ世界に出て行かなくても、そのまま世界にいるということ。そのことを教えてくれたのが、輪島に講演に来た浜野安宏だった。