もう一度未成年からやり直したかった
どこに行きつかわからない、そのどん詰まりまで
世界の果てとおぼしき砂漠の果ての
焼きつく太陽とアフロディテの肉体に憧れて
彷徨う日々にもどりたかった
形にしたくなかったから
生まれ出る一歩手前で忍耐の呪文を唱えていた
世間の調子を微妙に外し
伏し目がちに風の街に佇んでいた
どうして欲しかったなんて考えたことがなかった
いつまでも一緒にいる仕方だけ
考えればよかったんだ
閉ざされた部屋だけあればよかった
無情で阿呆で感情さえもなかった
ただいつまでも麗しくそばにいて
無言に耐えて欲しかった
何もなかったわけじゃない
どこにもないここだけのアウラ(気配)のような
無限の息づかいがしていた
きっと死ぬまで少しだけ悲しいこの感じは消えないと思う
老人は思ったより少年に近いかもしれない