『書を捨てよ、町へ出よう』というキャッチコピーがあって、ある時期強いインパクトを持って呼びかけられたことがある。寺山修司の言葉で、同名の題の本があってそこにはその言葉がアンドレ・ジッドのものであることが記されているらしい。ぼくがFBで本のことばかり書いていて、知り合いのデザイナーからあるイベントへの勧誘のつもりで、このフレーズをぼくに投げかけたのだった。ところが寺山修司もアンドレ・ジッドも大変な読書家で、決して読書をやめたわけではなかった。象牙の塔のような世間と没交渉な部屋で書を読むのではなく、もっとリアルな世俗的な坩堝に飛び込めと言っているに過ぎない。そういう経験の上で書を読めと言っているのだ。ところで世の中がコロナウィルスで蔓延している今は、「町を捨てて、書を読もう」となるだろうか?残念なことに、寺山修司が活躍していた時代と今とでは読書そのものの魅力が圧倒的に薄れてしまっていると思われ、書を捨てるという動機もないだろう。
このブログを参考にさせていただきました。