開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知るために、そしてそれを解くために。

1968年文化

ぼくが美大生だった頃、二つの雑誌を愛読いていた。季刊「遊」と季刊「FILM」だ。地方の高校生が受験勉強で閉じこもっていて大学に受かると、そこで初めて「世界」に遭遇することになる。時代は1973年になっていたが、1968年的な文化の残滓は雑誌に花咲いていたようだ。その雑誌から稲垣足穂やATGの映画やアングラ劇の赤テント、黒テントを知る。同級生に演劇部のKさんがいて彼は赤テント派だったので、ぼくは黒テント派になって、新宿紀伊國屋ホールでやっていた時に一人で観に行ったことがあった。同じ日だったか別の日だったか思い出せないが、ATGにも行って吉田喜重監督の「戒厳令」を観た。こちらも新宿で確かアートシアターという名前の映画館だったと思うが、ぼくはそこのトイレで免許証を落としてしまった。席に戻って上映寸前に肩を叩かれて振り返ると、それを返してくれた人がいた。何と東京の人は親切なのだろうと内心感激したが、恥ずかしかったので黙って感謝の意を目に表しただけだった。それが何となく仲間意識のようなものを感じあった気がしたのだった。

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