開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

小説とその他

 百済観音の微笑みの秘密を探ろうとして、飛鳥時代のわりと学術的な本をここしばらく読んでいた。YouTubeで歴史解説のわかりやすい動画もいくつか見て、大まかなイメージも掴んだりした。百済観音は現在、法隆寺に安置されているということだが、法隆寺には分からないことが多いらしい。聖徳太子を祀って造られたのだが、祀るということがその時代祟りを恐れて霊を慰めるという意味合いだったということが分かったりした。歴史から分かるのは支配層の権力争いばかりで、「微笑み」の感情の源泉みたいなものは学術研究の範囲外にあると思わなければならなかった。そういう諦めがやってくると熱が冷めてしまうのも致し方ないとしよう。ぼくはまた小説を読む方へ戻っていった。黒井千次の「石の話」、色川武大「善人ハム」、向田邦子「鮒」、島尾敏雄「孤島夢」、島尾ミホ「その夜」、松本清張「菊枕」と短編を続けさまに読んだ。何だか調子を取り戻した感じがした。小説は人生につながっていて、人生そのものではないが感情的に、生きている幻想に触れていないと、ぼくは元気がなくなることが分かった。