開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

ロマンロランはお好き?

サルトルは同胞の作家の中で、ロマンロランを優秀な作家とは認めなかったようだ。ぼくは高一で世界文学全集を読み始めたとき、現国の小浦場先生から「ジャンクリストフ」を勧められて読んでのめり込んでしまった経緯があり、ロマンロランが描く世界にはどこか郷愁を覚える。「ジャン・クリストフ」ばかりでなく、「魅せられたる魂」まで読んで甘味なヒューマニズムに恋心を抱き、少し恥ずかしいくらいに少年の心を奪われてしまった。ちょうどクラスの女の子の中に「魅せられたる魂」を読んでるのを知り、強引にデートに誘ったりした。だからもう初老を迎えている今でも、どこか胸の底の方で疼くものを感じてあの頃の雰囲気に誘われるのである。定年後に「ジャン・クリストフ」は再読しているので、「魅せられたる魂」を再読してみたい。誰もそれを止めたりしないのにどこかに後ろめたい感じがするのは、どうしてだろう?

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