もうすっかり忘れて、自分の暗い過去などなかったように生きてきた。でもぼくが青春の頃息をしていたのは、山崎ハコのような暗さの時代にあったことを今日思い出した。村上春樹がアメリカ文学を徹底的に吸収しようとしたのと反対に、村上龍はアメリカの植民地文化たる在日米軍基地で可愛がられていた。村上龍は育ちの良い坊ちゃんではなかった。今夜山崎ハコのような底辺にどっぷり浸かってみようと思った。そろそろ都合よくセックスに落ち着く村上春樹から離れようと思う。
誕生祝い (Tanjo Iwai)
また一つ大人に
今日はあたしの誕生日
うす暗く狭い部屋で
ろうそく一本誕生お祝い
誰か思い出してくれたかな
いくつになったと言おうかな
いえいえ一人でいいんだそうさ
誰もあたしにやさしく微笑みかけるな
ろうそくの上で思い出が
ゆらゆら遊び回るよ
一息に消して消してしまいたい
でも思い出恋しい気もする
みんなみんな離れていく
愛する人さえ遠くに
一年前は笑っていたのに
気が付くと今は一人
誰もそばには居やしない
あたしを独りぼっちにする
このままいつまで一人きり
ろうそくの上で思い出が
ゆらゆら遊び回るよ
炎と一緒に何もかも
消えて消えてしまうよ誕生祝い