開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

源氏物語から何を吸収できるか?

我が国には源氏物語という、世界最古の小説が残されていてそれを元にいくつかの有名作家による現代語訳があり、読むことができる。英語にも翻訳されているので世界文学として、世界に日本文化のコンテンツが共有されている。この内容を源氏物語を読んで知っておくことは、日本人として限りない自尊心を持つことを可能にする。、、、という風に大げさに考えてしまうのが、ぼくの悪い癖なのだが、それでも地元の文学仲間と源氏物語を読む会を持てるのは、生きている意味があることだと感じている。(実際感謝もされている)

さて、読む会を作ったといっても専門家や研究者はいないのだから、様々なネット上の解説や図書館から研究書を借りて少しずつ読み進めていくだけの読み取りなのだ。それでも優雅な言葉の使用法や和歌のやりとりから日本人の心の源泉に触れたり、細やかな貴族たちの気遣いにそこまで書き込むかというほど詳細だったり、当時の教養の主流やトレンドなどを知ることになる。今やっと「帚木」(2帖め)を読み終えただけなのだが、古風な和文の宝庫にいかにも現代との文化格差のようなものを実感する。三島由紀夫が懸念した現代の殺風景な文化状態が、改めてどういうものかを知ることになる。やはり意味が分かるとその中に入ることができるので、ゆっくり丹念に意味を確認しながら、書かれてある場所や状況を具体的に掴む必要があると感じた。何よりも文中に流れている時間を感じ取ることで、時間に浸る古典ならでは読書の至福を持つことができる。

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