開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

文学部 Y 教授へ

昨日は突然のお電話で失礼致しました。私は今年読書会連絡協議会という小さな団体の会長になったばかりで、講演をお願いするのは初めてのことでした。前例があって、読書会のメンバーの方の中には先生の講演を複数で聴いて、先生のお名前を親しみを込めて呼ぶ方もいらっしゃいましたので、私も親しい感じで少し不躾な態度があったかもしれません、どうかお許しください。

さて、まなびフェスタの今年の予定を市の文化課に確認しましたところ、今年は衆議院選挙があって延期になるかもしれないとのことでした。最初に市に確認すべきでした。でも講演会は読連協の単独でもできるということで独自に行うことにいたしました。会場はカレイド野々市市図書館を押さえておきます。

今日のメールは講演内容について主催者側の想いをお伝えしたくて送らせていただきました。少し私自身の話をさせてください。私は高校に入ってから世界文学全集を読み始めて熱中した世代の一人で、書物は海外の小説の翻訳ものが主でした。学校での古文の授業は苦手で、現国の授業も世界文学全集に比べると上辺だけの興味だったように思います。私が国語の古典に興味を持ち出したのは、定年後地元の読書会に参加してからで源氏物語を読むようになったのは何と今年に入ってからでした。源氏物語を一人で読んでも挫折しそうだったので仲間で読むことにしたのです。

源氏物語は出会いとなりました。現在私は68歳でこの歳で初めて日本の古典の世界を知りました。このような私の個人的な事例は特殊で取るに足らないものですが、ロバート・キャンベル氏によりますと、明治政府の言文一致の国語政策が古典との断絶を生んだということであります。話が大きくなりそうなのでここで講演内容の話に戻します。私の例は、ひょっとすると古文が苦手で自国の古典文学に馴染めてない人が多いことを示唆しているかもしれません。源氏物語も現代語訳で何とか読める程度のお恥ずかしい読書会の現状ですが、この現状から出発して市の皆さんが古典文学に親しむようになるには、どのような手立てが必要になるとお考えでしょうか?

先生ご自身の専門から古典の世界と現代を結びつけるきっかけをご提供いただけるとしたら、この講演でのテーマとなると思います。例えばですが、これまでのご研究の中で、一番魅力的で災害の多い現代の人にも自信を与えてくれそうな人物を取り上げて紹介する、というやり方もあるかと思います。もちろん講演内容については先生にお任せになるのですが、ほんの少しでも現代と古典という枠組みに配慮いただければ幸いです。