開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

桐野夏生「バラカ」を読んで

桐野夏生さんも金沢市生まれである。これまで唯川恵さんと水橋文美江さんの小説を地元出身という理由から読んできたが、桐野夏生さんはそれ以前から同時代の学生運動がらみという、小説を読む理由で読んでいた。ここ二、三日「バラカ」を読んでいたが、それは前者の理由からであった。ぼくは「バラカ」がどういう小説か全く知らずに、同郷の作家でこれまで「抱く女」と「夜の谷を行く」は読んでいて、次に何か読んでみようと選んだ作品だった。だから3.11や反原発や幼児売買やレイシズムやネット社会の問題が扱われているとは知らずに読んだ。これまで3.11やフクシマを題材にした小説は求めて読んでいた。それらは「バラカ」を読んで即、色あせてしまった。圧倒的に力が優っていた。「バラカ」はぼくの中では「コインロッカー・ベイビーズ」と「1Q84」に匹敵する作品だった。(この小説をディストピア小説と分類してしまうと無意識に作品を殺すことになる。現実がすでにディストピアであって、ディストピアでどう生きるかを描くのが桐野夏生さんの小説なのだ。)「バラカ」を読んだ後、桐野夏生さんに関する記事をネットで探していたら参考になるブログを見つけた。桐野夏生さんには、文学の今に対する明確な主張があった。これまで3作を読んでいるのでそのメッセージは腑に落ちて、ぼくの文学観を変えうるものとなった。

たったひとつ、彼らの振りかざす「正義」と戦う方法がある。小説を読むことだ。

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