開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

読書運動を始める

佐藤優松岡正剛の共著、中公新書「読む力」によると、現代人は急速に読む力が衰えてきているという。おそらくそれにはインターネットの普及が関わっていると思える。とにかくググッて見ればたちどころに答えは見つかるという便利さを手に入れてしまったのだから、あれこれ仮定や推理をするまでもなくなる。「読む」の深い機能が失われて、表面だけの射程距離の短い範囲で「終わってしまう」。本当は、読むというのはそこから先の作業なのだ。平野啓一郎は「本の読み方_スロー・リーディングの実践」で、読書は読み終わってからが始まりだと述べている。読んでから作者の頭の中へ、最初の読書とは別の「読む」力を使って進むのが本当の本の読み方だという意味のことを主張している。ぼくはこれらのプロの達人にはなれないが、自分の持ち場で読む力を仲間と共に養っていこうと思う。これは実践的な「誓い」である。この誓いが退屈な日常からの脱出を意味することは、この前ブログに書いた通りである。そういえば、ルターは聖書を読む運動を始めて革命を起こした、という若い哲学研究者がいたのだが名前を忘れてしまった。それほど読む力には現実を変える力があるのである。