開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

未成年の詩

世界に飛び出すまでのモラトリアムの時期があった

どんな人にも孤独が初々しい頃があるのだろうか

もしこれを読んで呼応してくれる人がいるだろうか

憧れに身を焦がすほどの疾風が過ぎ去ったころ

木枯らしが落とした樹の葉たちの路を

上は萌黄色のセーターを着て、下はコーデュロイのパンツに包み

素足にスニーカーを履いて歩いていた

現実には誰とも出会わなかった

でもいつも誰かがいて寂しくなかった

スタンダール気取りで熱烈な手紙を将来の貴婦人に送っていた

長い手紙には二人だけの場所が想像されていた

言葉による気配の定着に夢中になった

果たして返事は来て初めての侮辱を味わった

大いなる時代錯誤にも甘い記憶が付いている

静かに蘇るかけがえのない日々

蘇るたびに新しくなる

重なりが思いがけない息吹を生む

多くの詩人は高踏を複雑にして思想に高めたが

失ったイノセンスの風はあまりにも強く

無情とニヒリズムの温床をつくった

少女の瞳と息と低い声に

閉じられたいのちを与えてもいいのではないだろうか