中二病ならぬ高二病について書いたことがあったが、今度は一挙に高齢化して永遠病とでも名付ける、心の状態について書いてみたい。中二病が持っている危うい心の閉鎖状況がぼくの場合、高校生の時や定年退職後の初期高齢者の今にもあるのではないかと思える。高二病の時は世界文学全集を読みふけったことによる、現実とフィクションの違いが曖昧になったのだが、永遠病というのはかつて読んだ世界文学全集の世界が無性に懐かしくなって、その中に入りたいという欲求が増してくるという状態なのである。端的に言えば、「若きウェルテルの悩み」のロッテ、「罪と罰」のソーニャ、「復活」のカチューシャ、「魅せられたる魂」のアンネットなどの女性が現実のどこにも見出せない故の憧れや崇拝の感情にだんだん囚われてきているのである。ほとんど恋心と変わらない気がする。どうしたらいいだろうか?満たされない状態が続くとやはりまずいのではないだろうか。今はアンネットに対して想いが募っている。彼女は第一次大戦下のヨーロッパの精神的閉塞感の中で、本能と理性が調和した自立心を持って逞しく生きている。不思議な生命力で、虚無感や喪失感に馴染んでしまっている現代人の感性にはないものを生まれながらにして持っている女性なのだ。そういう女性と一緒に生きてみたい。、、、あまりにもロマンチックで浮世離れしているので、初期高齢者の永遠病と名付けてみた。