開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

一人ぼっちの充足の日々

自分史を書いてみようとしていた時期があった。今ここにいる自分はもう68年間も生きている。この自分とは長い付き合いだ。世間知らずの、自尊心が強くていつも一人でいる、目立とうとしないがいつの間にか周りから浮き上がってしまう、楽天家にして夢想家、それがぼくだ。他人が現れる前の、労働に縛られる前の、恋の味を知る前の、世間と肩書きに無知の、比較の眼差しには近づかず、恐れを知らずにいたが挑戦することも知らなかった、哀れな運命のままに、生きようとしたおめでたい男、それがぼくだ。随分と忘れていたものだ。しかし、もう思い出しても誰からも文句は言われない。フロイトはその自分を素材にして人間を知る、精神分析という学問を発明した。甘味なる研究対象がそこにある。そう、甘く果てしなく気ままで、誰からも邪魔されない自分だけの聖域が巡り巡って手元にある自由。それはあなたにも同じだけあるはずだ。それぞれの自分の、一人ぼっちの充足の日々を思い出そう。