どうやら38年間地方の中小企業で働いていたサラリーマンだったことで、ぼくの残りの人生はおおかた決まってしまっていると思える。丸山真男の「現代政治の思想と行動」は最初の「超国家主義の論理と心理」を読んだだけで挫折してしまった。学術書の硬い論文形式についていけなかった。斎藤幸平の「大洪水の前に」はまだついていくことができた。弁証法は馴染みだったから。丸山真男の文体は意外にもですます調だった。(後の方は、である調になっていたが)それが逆に自由な論理展開を制限している気がした。哲学的な閃きが訪れず、文章の運びが退屈だった。おそらくぼくに、そもそも学術書を丹念に読む習慣を作れなかったからだろう。大学は美大だったし、サラリーマンの時には小説をたまに読むぐらいだったから、論文の読解力が身につかなかったと思える。しようがない。諦めよう。背伸びせず自分の立てた目標に戻ろう。自分の目標をもっと自分のものにしよう。