定年退職して7年が経った。働かない毎日を重ねてきて今さらこの生活を変える気にはならない。基本的に気に入っている。68年間生きてきて、ようやく掴んだ安定した状態にある。私はよく迷子になる夢を今でも時々見ることがある。昨晩のは、何か大きなビルの色々なゲームマシーンを迷いながら操縦している夢だった。レーシングカーのような装置に入るのだが、まるっきり動かないので帰ろうとするのだが、大きなビルの中をむやみに動き回るが決して帰路は見つからないのだった。道に迷う夢はよく見ていて、これは過去に出てきた道ではないかと夢の中で気づくこともある。私の人生が迷いばかりだったということだろう。でも今はもうこの家にいて、どこに行くこともない。ここで死ぬことができれば、いうことはない。
さて、そうは言っても多分死ぬまでには相当時間がありそうだ。これまで自分史に関心があった。自分はどういう人間だったかを知りたいと思った。大学を卒業して社会に出てみると、いろいろな人がいた。みんなどこかで少しづつ競争していたと思う。自分が属する小さな社会(組織)から脱落しないように、今から思えばそれなりに一生懸命やってきたと思う。別にポジティブ思考を意識しなくても前に進むしかなかった。自分史などというが、自分の過ごしてきた過去は歴史といえるのだろうか。少しは書いてみたが何かを成し遂げてきたか言えば何もない。私の両親は3人の子供を育て、自分の家も建てたから達成感は私よりはあっただろう。私たちには子供がいなかった。
そろそろ自分史なぞは捨ててしまおう、と思っている。自分史ではなく、自分空間を作りたいと思う。横軸ではなく、縦軸だ。上か下か?、、、、、下の方だ。潜在意識やユングの集合無意識や唯識のアーラヤ識の空間は、自分のものでありながら、人類につながっている。だから自分を通じて世界に繋がることができる。上の方は社会や国家があって自分ではどうにもならない空間だが、下の方は自分の意識で何とかなりそうな気がする。