6月の空が低く灰色に街路が引かれていた
二人の大学生が通り過ぎていくのを
屋根裏部屋の小さな窓から見送っていた
法科と工科大学を選択して約束されたエリートの道を
余裕を振りまきながら知的に歩いていた
所々の電柱には政治集会のビラが貼られていた
どこかの下宿部屋からは
通りに漏れ出ていた
アスファルトの生あたかい温もりが
庶民の沈黙を厚い層にして感じさせていた
テレビにも週刊誌にも活動家崩れが棲んでいた
こんな田舎に解放区なんかあるはずもないが
受験生が起きているあいだは
闇は地球のあちこちからの低い声に同調していた