開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

to go into the zone of the jazz


今ではどんな曲もほとんどYoutubeにアップされている。この曲(レコードアルバム)はかつて金沢の竪町にあったJAZZ喫茶「きゃすぺ」で、かかっていたものだ。ウェインショーターがマイルスのメンバーから独立したての頃のリーダーとなって作ったアルバムだ。なぜ今でも覚えているかというと、アルバム表紙の東洋系女性の顔を覚えていたからだ。狭く(本当に狭い)暗い店内の、レコードが掲示される壁スペースにスポットライトが当たり、曲に聞き入っている間中それをじっと見つめていたものだった。ウェインショーターのサックスはコルトレーンほど激しくなく、マイルドな音色がクールだった。バックのリズムセクションはマイルスのセッションに参加していた、ハービー・ハンコックのピアノに、ロン・カーターのベース、それにコルトレーンと組んでいた、大胆に進行するエルビン・ジョーンズのドラムがリーダーを支えている。今、このJAZZの音響ゾーンに入っている。この集中してゾーンの中に入る感じは、あの頃の「きゃすぺ」に通じて、曲に浸っているあいだ時が戻っている。それは独特の感じで内臓的とも形容できる。68歳の今もあの頃の至福に通じることができるなんて、とてもありがたいことだと思う。じっとうずくまっていたい、とはこの感覚なのだろうと一人心地てみる、、、