開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

Aとの別れ

ぼくはこれまで誠実な気持ちでAを見ることが出来なかった。もう人生の秋を迎えようとする時期にいて、それは感謝の気持ちに変わっていてもおかしくはないはずだった。過去を振り返ることが生きがいのようになっていた頃、少しは気持ちの変化を感じ出していた。もし再会ができたとしたら、最初に感謝の気持ちを伝えたかったと思う。とても古い昔の友人の一人として1回だけ再会を果たせられれば、これからの第二の人生に意義深いことだと思われた。果たして再会は実現した。当然のことながら彼女には彼女の人生があった。ぼくの誠実さは実際会ってみると通じなかった。むしろ彼女の方がぼくを受け入れようとしなかった。今から思うとわれわれは少しも通じ合うものはなかった。彼女の感性はもともとぼくには受け入れ難かった。ずっと噛み合わないままだったのだ。もう小説を読むこともなくなっていた。ただ、彼女には恋の自分なりの流儀があるように感じられた。それに付き合うとぼくの方が居心地が悪かった。落ち着いていられないものを突きつけてくる感じだった。理解しようとすると巧妙に滑り抜けようとする。ぼくに恋愛の感受性がなく、いつまでたってもそれに馴染めなかったのかもしれない。そういえば、Aは男女の間の安心感や共通の心情のようなものを否定していた。絶えず緊張感がある方が良い状態らしかった。それはぼくには受け入れ難かった。付き合い切れないと思われた。ぼくはAの刺激的なところに惹かれたのかもしれないが、ぼくは自分が動かされるのは我慢がならなかった。、、、いつまでたっても分からないままなのかもしれない。ぼくは自分を信じ、妻を愛しく思い、約束を果たすだけだ。