開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

佐川美術館で「天堂苑樹」を観る

定年退職の完全無職の身だから、ゴールデンウィークといっても別にいつもと違うはずはないのに、周りが一斉に動き出しているのを見るとどうしてか焦りを感じてしまうのは何故だろう?自分も何処かへ出かけたくなる。出かけないと取り残された気持ちになる。そういうわけで殊更いまでなくても良いのに、かねてから行きたいと思っていた佐川美術館に妻と行ってきた。琵琶湖の北端から4分の3くらいの東側のほとりにある。自宅からだとGoogleで3時間7分と出た。しかし、実際はのんびり高速を走ったり敦賀インターで降りてから迷ったりしてたので、途中南条SAでの昼食も入れて5時間近くかかってしまった。ちょうどバンクシー展をやっていたが、見たかったのは平山郁夫シルクロードでの絵と地下の茶室だった。いつか行こうと思ってから2、3年は経っている。不本意な焦りを感じなかったらまだ先になっていたかもしれない。しかし、ついにその絵と出会うことになった。横長で169.0×366.4cmある。「天堂苑樹」である。

天から降りてきたとされるブッダが弟子たちより少し高いところから、説法しているのだろうか。その話に聞き入る姿が至上の慈愛に満ちているのだ。暗闇に手に明かりを持ってそれぞれ距離を置いて佇んでいるのが幻想的で、とても温かい。ブッダの傍らには白い象がうずくまっている。画面後方に赤く烟っているものがある。何かが燃えているのだろうか?森自身が生き物のように感じられる。「天堂苑樹」は初めから知っていたのではない、そこで初めて見たのだった。平山郁夫の絵は他にも有名な絵が10点くらいあってテレビや雑誌で見ていたが、それまで見ていなかった「天堂苑樹」が一番好きだブッダに対する尊敬と親しみが森全体を包んでいる感じが、歴史を超えていとしい気持ちになる。その感じはおそらく平山郁夫も感じているに違いない。絵を通して気持ちが通じ合うという体験は、実際にこの場所でしかなし得ないと思う。何か自分の人生目標を一つ果たした気がした。