開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

自由の本質

あっは、 ついにわかったぞ

サルトルが言っていた自由の本質ってのが

なんのことはない、意識って奴だ

意識しかない世界に俺は

生まれてこのかたずっと生き続けてきた

何となくずっと寂しかったぜ

別名を無と言うんだから

何をしても自由なら何をすりゃよかったんだ?

理由や根拠ってもんが欲しいってもんじゃないか

無口な職人を親にもった息子は

人生の見本なんてある筈もなく

無情な20世紀に放り出されたってわけさ

母親が優しすぎたかもしれない

もうちょっと具体的なディテールで

躾けてくれりゃ寂しい思いをしなくても済んだかもしれない

おとなしいガキの頃

親父は俺を映画館に連れて行ってくれたことを

今日突然思い出したんだ

そしたら無性に親父のことが分かり始めて

泣きたくなってしまったよ

あれから人生っていうものは何も変わらないことが

わかってしまった

永遠の自由の繰り返しだけが人生ってもんだ

耐えろ 耐えろ 耐えろ

忍耐の朝に昼に夜に

果てしなく ともかくも 歩いて行こう