思い出の詰まった白い雲が湧きあがる
青い空に出現してくる夏が一人のぼくを元気付けてくれていた
今年の夏休みは特別に君と知り合って二人の時を持てるのが不思議だった
高校の近くの冨樫プールに誘ったら来てくれた
一緒に泳いだ記憶はないからただ黙って肩を並べていたのだろう
どんな水着だったのかも思い出せない
ただ鼻の上の粒の汗だけが思い出せる
少し鼻にしわを寄せて気取って喋るのを聞いていた
あれは照れていたのかもしれない
低い声になると体の一部と共鳴するようだった
ぼくは意味のない形而上的な切なさを言葉にしたかった
何も盛り上がらず夏の暑さに身を任せていた
夕方になるともう帰り支度になり
一緒にかき氷を食べて別れた
じゃあと言って顔を見ると唇がイチゴのように赤かった