今年の目標である、学術書の読解の5冊目、柄谷行人著「世界史の構造」を今日達成する。読了に約1ヶ月要したが、その間に姜尚中の「悩む力」再読などをしていた。「世界史の構造」は岩波文庫版を早くに購入していたが、「人新生の資本論」を読むまでは書棚に眠ったままになっていた。もっと早くに読んでおけば良かったと思った。(特に、従来のマルクス主義では国家の自律的な力が見えていなかったという指摘には目が開かれた。)ぼくの世界観のベースを変えてしまうくらいの読書経験だったからだ。過去に唯識を読んで変わったくらいの経験になった。早くに読んでいればもっと早くに鬱屈とした精神状態からぬけ出ていたと思う。資本主義以外の体制が理論として実現可能であることに納得できれば、もっと明るい見通しを持てたと思う。この書は希望が理念や夢でない保証を与えてくれた。カント、プルードン、リカード左派、ガンジーなどの復権がこの書によってなされた。カントは国家の廃絶なしには永久平和はない、という立場であって無力な平和主義者ではなかった。プルードンはマルクスに批判されたことで、協同組合や人民銀行などの意義が伝わらなくなったが、柄谷行人は再評価している。リカード左派はマルクスが主張したことを遥か前に主張していて、過激でもあった。ガンジーの非暴力の抵抗は、現在でも資本主義に抵抗できる方法を秘めている。等々をぼくは読み取った。結論として国連の改革に希望を見出しているが、それは国連システムには国連を超えるものがある、ということだった。国連は「世界共和国」に繋がる唯一の道だからだ。(ぼくの要約にはかなりの飛躍があることを認めるが、隙間は実際に読んで確認してみてほしい)