開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

未成年のころの後悔

高校1年で世界文学全集を読み始めて、スタンダールとかデーテとかドストエフスキーなどの小説を、何もかも新鮮なことばかりに出会って夢中になって毎日読んでいた。当然恋の擬似体験もすることになる。初恋もしないのにいきなり複雑深遠な恋にはまってしまって自分が分からなくなり、夢想の中を熱病にかかったように自宅の勉強部屋と学校の教室を往復していたように思う。3年のクラス替えですぐにAに取り憑かれてしまった。いきなり一緒に帰ろうと誘って恋の真似事に付き合わせてしまった。小説に憑かれていたから、変な自信があった。強引さは好意的に受け入れられたようだった。ずっとずっと後になってAに、ぼくと結婚したいと思ったことがあるかと聞いてみた時に、最初の「デート」の時すでに思ったと言った。ぼくだけじゃなく彼女の方も、のぼせ上がっていた。確かスタンダールだったか、あるいはドストエフスキーだったかも知れないが、恋は最初ののぼせ上がった時に急に我慢して距離を置くようにすると、不安からさらに燃えるようになるみたいな技術を書いていて、無謀にもそれを試してAを精神的に追い込んでしまったことがあった。今でもそれを後悔している。もっと素直に「高校生らしく」明るく穏やかに友達から始めて付き合っていれば、どんなにか深い絆を築けたことだろうと悔やまれる。というかAにすまない思いを負い続けることになった。それだけに今でも、未成年のころが心に生き続けている。