開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

「精神現象学」緒論から

たしかに、意識は自己の喪失を恐れる「不安」から「真理」へ近づくプロセスを断念することもあるし、また、「虚栄心」から、自己の現在もっている「真理」こそ最高のものとしてつぎの地平へ進まずこれに固執するということもありうる。しかしそれは単に「自己満足」と言うほかない。意識そのものの本性は、必ず自己の内的な矛盾をバネとして自らを最後の「目標」にまで展開してゆく力をもつのである。

上の引用は、ヘーゲル精神現象学」緒論からのものだが、自分のことを言われている気がした。実はここしばらく牧野紀之氏訳の「精神現象学」を読んできて、引用にある自己の喪失に陥っていたからだ。やはりヘーゲルは自分にはレベルが高すぎると読むのを断念しようかと迷っていた。その断念はブログ自体の断念にもつながりそうだった。しかしこの引用にあるように、自分は「虚栄心」からヘーゲル読みの自己満足でしかなかったと言い当てられると、逆にそんな自分を認めて、その自分を否定するべくより高い自分に引き上げるよう奮起したくなる。それが弁証法的な進行であり、ぼくが真理を求めたいのなら断念はできないのだ。、、、またしばらく頑張ってみよう。