開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

同人誌参加は諦めた

思わぬことに同人誌への参加を止められてしまった。定年後のぼくの生活は、テニススクールと読書会と古典文学会と母親の病院と買い物の送り迎えで回っている。同人誌で同人の人との付き合いも始まるかもしれない。妻は、これ以上のぼくの「広がり」にブレーキをかけた。離婚をチラつかせてまでの強い口調でぼくに迫った。面食らった。妻は本を読まない人だ。同人誌を運営するT先生の奥さんは、夫と同じほどではないが本を読む。読書傾向も時代小説が主で似ている。但し古典文学や読書会など読む仲間と付き合いはないみたいだ。要は夫婦で同じ趣味か、異なる趣味かで定年後の生活パターンが違うということである。ぼくと妻はテニスでは同じ趣味なので、夫婦で全く違うわけではない。同人誌に参加し始めると異なる趣味の割合が増えて、夫婦間の時間や意識の差が広がることを嫌ったということなのだろう。ぼくの友達で、夫は個人事業主で奥さんは検査技師という夫婦がいて、夫は定年後も仕事を延長し奥さんは定年で辞めることにした。その夫婦は離婚したのである。奥さんは定年後夫婦でゆっくり生活を楽しみたいと思っていたのに当てが外れたのが、我慢できなかったのではない。定年後一人でもやっていけるのに、まだ夫の世話を続けるのが馬鹿らしいと思ったのだった。

結果としてぼくは妻に従って、同人誌参加は諦めた。何よりも妻との時間が一番大切という、定年後の生活原則は守らなければならないからだ。