開界録2019

ぼくの生きている実人生に架けられている「謎」を知ることから、一人で闘う階級闘争へ。

自然体を保証するもの

今なんのこだわりもなく、自然体で書くとどうなるだろうか?そんな事を思うのは今までいろんな目論見や自意識や目標や生きがいなどといった、自分を縛るものに成長の条件となるものを価値づけしてきたからだ。何者かになるにはそういうものが必要だと思い込んで来た。だが、そろそろそんなものに効果がないことが分かり始めた。いくら縛ってもしばらくしたら飽きてしまうのだ。それこそヘーゲルさえ読んでいれば、これまでの不甲斐ない人生を挽回できるくらいに思っていたのだが、他に目が移ってしまう。白井聡という幾分過激と見られている評論家が政治評論を書けても哲学が理解できていない風なのだ。マルクスを論じるならヘーゲル理解は必須なのに、とても弁証法を理解しているとは思えなかった。まさにいつの世も哲学の貧困が蔓延する。目立ちたいからなのか、自分の本を売るために多く顔を出そうとするのか、だんだん衰退していく感じがする。要は自分の立っている場所を深く掘っていくことから他に目移りしてはいけないのだ。大江健三郎は影響を受けたたった四冊の本を、50年の作家生活にわたって繰り返し読み続けることで自身の創造の核を作ってきたという。要は、身の丈に合った生き方をすることが、自然体を保証すると思える。無理をせず今を楽しむ術を追求したい。